2008-01-01から1年間の記事一覧

『火宅か修羅か』(作・演出 平田オリザ 青年団)

平田オリザの舞台の初見。だというのに間抜けな話だが、時間間際に会場に入ったボクは、今日観る舞台のタイトルを完全に失念していた。なんせチケット買ったのはずいぶん前だったし。だもんだから、この話の落ちが分からず、後になって題目『火宅か修羅か』…

『素人の乱』

知らないうちに以前ちょっと言及したことのある松本哉がらみの本が二冊も出ているではないか?あら、こんなイベントもやってたとはちっとも知らなかったよ*1。しかし、この本というか、デモにしても選挙にしても楽しそう。 貧乏人の逆襲!―タダで生きる方法作…

柳家小三治独演会

実は生で小三治を見るのは初めて。「青菜」と「湯屋番」を演ってくれました。相変わらず枯れた感じなんだけど、最後は爆笑してるんだよね。小三治というと、おそらく某国営放送でやっていた「お好み演芸会」(だと思う)の大喜利で司会をやってたあたりまで…

「日本の塩はまずい!」

あれは主成分が塩化ナトリウム九九・三%から九九・九%です。---。つまり、これははっきり言って純粋な塩化ナトリウムなのです。---。実は塩化ナトリウムは塩ではないのです。塩だとわれわれは思わされているのです。あれは塩化ナトリウムという薬品なんで…

勅使河原三郎 Here to Here

最後のあがきにテッシーの「Here to Here」を見てきた。再演だけどボクは初見。「Here to Here」、このタイトルを見て、ボクが初めて行ったテッシーの舞台である「アブソリュート・ゼロ」のことを思い出した。「Here to Here」ってどう訳せばいいのか困るが…

赤塚不二夫

赤塚本はすでにいろいろとございましょうが、たまたま目についたものでとりあえず買って読む。ボクと同じくらいの年代で、子どもの頃「太陽はどっちから昇るの」と聞かれたら、「西から昇ったお日様が東へ沈む」とアタマのなかでくちずさんんでから、「東」…

ジルベルト・ジル

相変わらずちらほらブラジルものを聞き続けているのだが、東京にはジルベルト・ジルが来るんだな。いいなと思っていたら、こんな企画があることが判明。整理券をもらって行ってみた。8時から4000枚配られるという整理券、ジルの時間は16時からなんだ…

思うに、

さしあたり死刑制度の是非はおくことにしても、法務大臣は自分が執行命令を出したんだから、その顛末を責任をもっと見届けるべきではないだろうか?毎回、刑場におもむき死刑執行の過程をちくいち検分すること、それぐらいやったうえで何かを語ってほしい。…

ダーク・ナイト

バットマンなんてと思ってたけど、評判がいいので見に行ってみた。アクションもすごいけど、ストーリーもすごい。というか、(ヒース・レジャーの遺作になる)ジョーカーがすごい。結局、バットマンはジョーカーに勝てないわけだ。出だしの銀行強盗シーンに…

佐藤道夫『検事調書の余白』

佐藤道夫といっても、どれくらいの人が覚えているだろうか?たしか、二院クラブの比例区に出て当選し、その後、民主党に移ったはずだ(もう引退したけれど)。当時、なんで青島幸男はこんな人を引っ張ってきたんだろうと思ったが、その後、たまたま国会で彼…

燐光群『サザン・アイランズ』

日本、沖縄、フィリピン。この三つを二つのグループに括れといわれたらどのように括るだろうか?燐光群とフィリピンの国際交流プログラム『サザン・アイランズ』を見てきた。 三本連作上演で、一本目「虎の杖」では沖縄、フィリピンそれぞれでの基地について…

小此木啓吾『シゾイド人間』

高校生当時、流行ものということでモラトリアム人間ぐらいは読んだものだが、その先が続かず、今頃になって『自己愛人間』を読み、さらにこの本もと思ったものの絶版。たまさか古本屋で見つけて読了。思うに、やはり小此木さんって凄かったんだというか、先…

阿佐ヶ谷スパイダース『少女とガソリン』

いまや話題の人、長塚圭史、阿佐ヶ谷スパイダースの公演『少女とガソリン』を観てきた。といっても、映像だけど。大の男がアイドルの歌をふりつけつきでそろって歌うとなればそりゃ笑えるわけで、面白いといえば面白かったのだが、以前に『犬の日』を観たと…

花はどこへいった

ヴェトナム戦争でアメリカ軍が枯葉剤(ダイオキシンが含まれている)を散布し、その被害が甚大であったこと、その被害はアメリカの退役軍人にまで及んでいること、でも、アメリカ政府はそれを認めていないということ、それぐらいは聞き知っていた。でも、も…

想像界の肥大化:長井真理『内省の構造』ほか

なにをいまごろだが、夭逝した才女、長井真理の『内省の構造』を読んでいる。ここでの知見がその後、どのように論じられていったのかはよく知らないけれど*1、これは面白い。 ブランケンブルクが、「分裂病性」の妄想の背後に潜む基礎障碍を取り出すために非…

「版」の誘惑展(名古屋市美術館)

版画にかぎらず、版のイメージから連想される作品を集めてならべていったもので、冒頭からジョン・ケージの版画があるわ、鏡を版木に利用した作品とか、人型を使った作品、網膜を印刷媒体に見立てた作品等々、様々な「版」が展示されるなか、版の逆をいくよ…

ハプニング

ナイト・シャマラン。この監督、評価は高いのだが何だかボクとは相性が悪いというか苦手というか、いまひとつ好きになれない。前作もあの荒唐無稽な感じに付き合いきれない気分が残った*1。そんなわけで、シャマランの映画を見に行くのは1日ということがお…

歩いても、歩いても

階段のあるロケ地が実家の近くだったりするし、手すりのついた風呂や壊れたタイルとかを見ていると、そこで描かれている情景がふと自分に重なってくる。主人公は「良多」というのだが、失業中の絵画修復士で実家へ戻ってきても、うまくいかない自分の再就職…

イースタン・プロミス

前作を今ごろ誉めた手前、こちらにも言及しないわけにはいくまいが、この映画のよさを説明するのは難しい。クリント・イーストウッドの映画を見たときみたいな気分。前作を一回目はほんとにふつうに見てしまったわけだけど、この映画もどこか特別なところが…

ヒストリー・オブ・バイオレンス

当時、評価は高かったのにボクにはわりとふつうの映画に見えてしまい、何を見損なっているのか気になっていたのだけれど、新作公開にあわせて再映されることになったので見に行った。ストーリーが分かっているせいもあろうが、前回何を見ていたんだろうとい…

岡本太郎『今日の芸術』

アートをとりまく状況は、当時(原著1954年)と今ではかなり変わってしまっていると思うし、だからまた、加えて考えるべきことはあるのだろうけれど、でも、まだこの本は有効だと思う。文庫解説の赤瀬川原平のことばはよくそれを示している。「たしかにこの…

エレクトラ

鈴木忠志演出の『エレクトラ』を見てきた。日本人の役者とロシア人の役者の混合(微妙に体の使い方が違いますね)。といっても、この舞台、ギリシャ悲劇『エレクトラ』を舞台化した作品ではなく、それをベースにしたホーフマンスタールの戯曲を基にしている…

作曲すること

これは前回のエントリーにたいする一つの答えにはなるかな。武満徹(前者)と尹伊桑(後者)との対談から。この尹伊桑という方は存じ上げなかった。細川俊夫なんかの師匠にあたる人でもあるんですね。さがして聞いてみよう。 実際に私たちがやっている芸術とい…

福知山線で事故が起こって何年目?

もう3年もたつんですね。某国営放送のETV特集で放映された遺族宅を訪問するJR西日本の社長の姿を見ながら、チッソの島田社長のことを思いだした。いろんな意味で似ているというか、いつまでたってもこういう事件は同じように繰り返される。そして、どこまで…

Lions for Lambs

映画の日に見たのはふだんなら行かなかったかもしれないこれ。大した入り。この作品、内容はまったく違っているけれど、問題の構図はある意味で『歌わせたい男たち』と同じ。ロバート・レッドフォードは『大統領の陰謀』(1976)でダスティン・ホフマンと共演…

なぜかジャネット

最近、ブック・オフで250円のCDを買って何をいまさらなことを知るのが結構たのしい。今回は、ジャネット・ジャクソン。いまさら80年代のヒット曲なんてあまり聞いてみようなんて気にならないのだが、改めて聞いてみようと思ったのは、これを読んだせい*1。…

石原千秋『秘伝中学入試国語読解法』

子どもがいるわけでもないのにこれもブックオフで見かけたら気になって購入。実は大学のゼミで役に立つんじゃないかと思ってたりする。とりあえず、前半読了。素直に面白い(あるいはためになる?)。石原パパはここまでやるのか。ゲームのルールを疑いなが…

歌わせたい男たち

知人に薦められた『歌わせたい男たち』を見てきた。残念ながら名古屋では一回だけの公演、でも、かなりの入り。公立高校での君が代斉唱というシリアスな、しかし、近年はなぜかあまりメディアでは取り上げられない、トピックを取り上げながらも随所に笑いを…

アルトマン補遺

わたしは詩というものにまったくなじめない人間だといってもよいのだが(読まないとまでは言わないが)、なぜか詩論は気になってときどき読んだりする。で、いまさら『現代詩手帖』3月号での稲川方人と山嵜高裕の対談を読んでいる。すべてがわかるというつ…

パラノイド・パーク

なんとか筋が追えたのは久々。前とあんまり変わらないじゃないかとという指摘もありましょうが、回顧的な8mm風の映像を入れたりしながら、時間の継起を交錯させる一方で、ほとんど同じ構図のカットを反復させることで、少年の内面の変化をうまく描いていると…