2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

なぜかロキシー

ロキシー・ミュージックというと、とりわけ解散前、初期のイーノがいた頃という話になりがちなわけで、かくいう私も聞き始めはそうだったわけですが、でも聞いていくうちに、『アヴァロン』にかぎらず、再結成後のロキシーもいいじゃないかということになっ…

誰もペルシャ猫を知らない

こんなイラン映画みたことがないというか、こんなテヘランみたことがないというか。民族音楽から、ロックはもちろん、メタル、フュージョン、ラップまでテヘランのアンダーグラウンドでこんなに多様な音楽が演奏されているなんて思いもよらなかったし、ゴミ…

柳家小三治独演会

今年は去年みたいになが〜いマクラはなかったけど、マクラふってるうちに調子があがってきたという感じで、厩火事と百川。厩火事は、小三治にとって、一番好きな噺かもしれないそうで、これこそ人情話じゃないかって。いかにも、彼らしい言葉だと思った。百…

『触発する言葉』

さらに読んでみると、合州国での実例が出てきて、ポルノや差別発言の扱いをめぐって、言ってみれば、それが発語内行為に相当するのか、発語媒介行為に相当するのか、ヘゲモニー争いをしているような状況があり、それを国が判断するという奇妙な状況が生まれ…

『触発する言葉』

出た時にすぐに原書で買ったのに、いまごろになって、翻訳で読んでいる。とりあえず、序を読んだんだけど、「もしーなら」とか「だろうか」とかいう修辞的表現が頻出するせいもあって、議論の筋道がいまいち分からない。原書もひっぱりだしてみる必要がある…

『オリエンタリズム』

やっと読了。じゃあ、具体的に東洋人(オリエント)がどのように表象されたかといえば、たとえば、「オリエントの後進性、退行性、西洋との不平等といった命題は、19世紀初頭に、人種差別理論の生物学的根拠をめぐる諸観念といともやたすく結び付いた」(22…

証拠の改竄だけが問題ではない。

たしかに、検察が証拠を改竄したら、そんな恐ろしいことって話になるのだが、ちょっと待ってくれ。新聞報道によれば(本日付『朝日』夕刊)、この主任検事、検察のエースと言われながらも、その手法はかなり問題があったようだ(どんなパーソナリティなんだ…

なぜか、海賊

某国営放送でソマリア沖の海賊を扱ったドキュメンタリーを見る。この海賊って一体何者なんだという疑問が前々からあったわけだが、この作品には当の海賊(自称)も出てきて、海賊を始めるようになったのは、軍艦に護衛された外国の漁船が沖合で漁をやるよう…

こんな新刊が

自動車と移動の社会学―オートモビリティーズ (叢書・ウニベルシタス)作者: マイクフェザーストン,ジョンアーリ,ナイジェルスリフト,Mike Featherstone,John Urry,Nigel Thrift,近森高明出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2010/09メディア: 単行本 クリ…

『オリエンタリズム』

というわけで、オリエントとは、現実の経験と結び付いた何かというよりも、オリエントを表象する媒体そのものなわけであり、その媒体が再組織され増殖されていくわけだが、こうした「テクスチュアルな姿勢を生み出すのに都合のよい状況は二つある。ひとつは…

『オリエンタリズム』

もう記憶の彼方だが、学部生当時この本を最初に手にとったとき、いきなりこんなことを言われても、何のことやらほとんど分からなかったのではないかと思う。 むしろオリエンタリズムとは、地政学的知識を、美学的、学術的、経済学的、社会学的、歴史的、文献…

エリアス『定着者と部外者』

で、最後は相対配置cinfigurationの話でまとめられることになる。『参加と距離化』も読まなきゃ駄目だな。 「社会」、あるいは、さほどあいまいでないかたちで表現すれば、個人が相互に形成する相対配置は、相対配置を形成する個人に対していくぶん権力を行…

エリアス『定着者と部外者』

この夏いろいろと本を読んできて考えてみたい問題があったわけだが、ずっとある種の物足りなさがあって、その点について、さしあたりもっとも明晰な解釈を呈示しているのは、とあるコミュニティを取材したエリアスの研究になるとは思わなかった。これでいく…

『黒い皮膚・白い仮面』

精神分析つながりでファノン再訪。黒人は自分自身から疎外されていると。 故郷に留まるかぎり、黒人は些細な内輪争いの際を除けば自己の対他存在を意識する必要がない。確かにヘーゲルの言うような「他者に対する存在」の契機というものがある。しかし植民地…

あら、こんな和辻本が出ている。

和辻倫理学を読む もう一つの「近代の超克」作者: 子安宣邦出版社/メーカー: 青土社発売日: 2010/08/24メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (7件) を見る こんな本も出てますな。歴史の哲学―物語を超えて (双書エニグマ 15)作者: 貫成人出版…

クリステヴァ『外国人』

そういえばこんな本もあったなと読んでみた。ひとつの社会で「外人」がどのように扱われてきたかの変遷がわかるのが便利。そして、これは言われてみれば、まったくその通り。「我々の文明の黎明期に発生した最初の外人が女たちだったことは注目してよい」(56…

犯罪のシナリオ

今日のニュースを見ながら、『殺人の記憶』という韓国映画のことを思い出した。近代化の波が押し寄せつつある田舎で猟奇的な殺人事件が起こるのだが、地元の担当刑事は、殺人事件の捜査経験なんてろくになく、だからまた、その犯罪の異常さを顧みる余裕もな…

ヴィヴィオルカ『レイシズムの変貌』

ついでにこっちも。これも論点がきれいに整理されていて便利。まずは、レイシズムの変貌。 初期のレイシズムでは、序列という垂直軸が重要だと思われてきたのに対し、今日のレイシズムでは、文化間の差異という水平軸が重んじられているということである。実…

ヴィヴィオルカ『差異』

差異の逆転。たとえば、移民の第二世代は、自らを新たに意味づける資源が必要になる。 この第二の人間像は、あるかたちで第一のそれと対立する。なぜなら、移民にとって大切なのは、伝統から離脱して近代生活のなかで個人化することではなく、逆に、集合とし…

ヴィヴィオルカ『差異』

たまたま見かけて購入。ところどころ訳文に気になるところがありますが、問題点の整理として有益。移民も二世以降になると、景気の問題もあって、移民先で社会的に排除され、不安定な生活状態におかれやすくなっている一方で、自分のルーツは縁遠いものにな…

暴力のオントロギー

こっちも読み返してみたけど、こっちの方が構成がよくみえるし、よい本だと思う。また、こっち読まないであっちだけ読むとわかりにくいと思う。前著の一部がこの本の最後の部分からの展開になって、以降の部分がその前の部分の展開と考えるといいのかな。し…

サバルタンは語ることができるか

以前ひろい読みしたものをあらためて。やはり、こんなに難しく書く必要もないだろうと思ったけれど、こんな指摘は確かに面白い。 すなわち、ある階級についての定義は他のすべての階級からの切離と差異によってあたえられるというのである。---。家族生活と…

『アウシュヴィッツの残りもの』

アガンベン、とりあえず3冊読んでみたけれど、これがいちばん読み応えがあったな。まだ、十分消化できていないところもありそうだし、既読書とつきあわせてみる必要もありそうだがとりあえず、気になったところを抜き書き。 アガンベンによれば、尊厳という…