2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

なにげに今日もまた

つげ義春を読んでいる。まあ、それは「たぶんわたしたちがじぶんの生涯を無償なものだとみなしたい気持ちが、見栄としてどこかにとぐろを巻いていた証だと思う」ということで。 義男の青春・別離 (新潮文庫)作者: つげ義春出版社/メーカー: 新潮社発売日: 19…

何をするというわけでもなく、

つげ義春なんぞを読んでしまっている。ほんとはそんなことをしているバヤイではないのだが、まあ「おまえが思っているほど、おまえはたいしたやつじゃない」ってことで。ちくまで全集が文庫化されるらしい。 ねじ式 (小学館文庫)作者: つげ義春出版社/メーカ…

「まったく信ずるに足らない世界で信念を持ち続けている人間、つまるところ破綻した人間を、私の映画の主人公にしたかった」。

『コロッサル・ユース』 さて、ペドロ・コスタの新作の方はどうかというわけで出かけて見たのだが(なにせ1週間しか上映期間がないのよ)、こちらは最初のカットから惹き込まれた。とにかく、映像が美しいのだ。とくに光りの感じが。前作よりはストーリーら…

石井幸夫「エスノメソドロジカル・ターン」

ちょっと作文をしているのだが、書き始めてみたら、これってここに書いてあったことと同じ話になるんじゃなかろうかと思って確認。もう、これ、十年前の論文になってしまうのですな。 石井幸夫「エスノメソドロジカル・ターン」(1998) 『情況』「特集社会…

ニャロメは超人である

だって、そうでしょ? ニャロメ!!―「もーれつア太郎」より (ちくま文庫)作者: 赤塚不二夫出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2003/05/01メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 44回この商品を含むブログ (6件) を見る

「ヴァンダの部屋」再訪

ペドロ・コスタの新作公開にあわせた再映ということで二度目の挑戦だけどまだ駄目だな。この映画を見たっていう気になれない。どういう映画って言えば、解体されつつある住宅を不法占拠している移民が、何をするともなくドラッグやって云々という日常が描か…

成田善弘『贈り物の心理学』

前述の境界例の本のなかに、患者からの贈り物の話があって、もしやと思って調べてみたら、この本を発見。フロイトと贈り物の関係が論じられたり、臓器移植をはじめ、移行対象や内観療法も贈り物という観点から吟味される。でも、いちばん印象深いのは、やは…

ミリカン『意味と目的の世界』

懸案だったミリカンの本をやっと読了する。文脈を追跡して意味を把握するという点では、言語記号と自然的記号は連続した関係にあるとか(174-5頁)、「現在と未来の状態や出来事に加えて、われわれは、投射される目標状態もこの共通の表象体系によって表象され…

内海健『スキゾフレニア論考』

木村敏以降の分裂病論の展開ということではこの本、きわめて明快だと思う。 筆者は分裂病の本質を根本的には時間の病理に由来するある種の背理性であると考える。そしてその発病過程は、主体にとって不可欠の構成契機である企投と被投性の両者の相補性の解離…

道徳教育の担い手

もはや旧聞に属するのかもしれないが、日教組が道徳教育に反対しているから、日本が駄目になるとか、「モンスター・ペアレント」がはびこるといった発言が複数の自民党議員から飛び出したわけだけれど、思うに、この人たちと「モンスター・ペアレント」には…

内海健『精神科臨床とは何か』

内海健『分裂病の消滅』のとりわけ前半が面白かったので*1、ほかの本も読んでみるべしということでいくつか彼の本を集めてきたのだが、チェックしたなかでは「まあ、いいか」と思ったこの本をなぜか一番最初に読んでいる。講義をベースにしているから草臥れ…

なぜか豊川稲荷

なぜか高名な豊川稲荷へ行ってきた。豊川稲荷というぐらいだから神社だと思っていたら、基本的には寺なんですな。正確には、豊川閣妙厳寺というらしい。坊主が寺のなかにお稲荷さんを作ったとか。門を入るとさらに山門とその脇に鳥居があって、山門を進めば…

「どうやったらやり直せる?」あるいは「意味はありません」

冒頭、家のなかに風が吹き込んでいる。雨が降り出し、それが家のなかに吹き込んでくる。妻が現れて窓をしめて床を拭く。家の脇を電車が走るたびに、家はがたつき、両隣は空き地。この構図がこの家族のすべてを物語るだろう。すきま風が吹き、がたつく家族を…

『火宅か修羅か』(作・演出 平田オリザ 青年団)

平田オリザの舞台の初見。だというのに間抜けな話だが、時間間際に会場に入ったボクは、今日観る舞台のタイトルを完全に失念していた。なんせチケット買ったのはずいぶん前だったし。だもんだから、この話の落ちが分からず、後になって題目『火宅か修羅か』…