2010-01-01から1年間の記事一覧

ドガ展(横浜市美術館)

天気は大荒れだというのでそれなりの遅れを見込んで出かけたのだが、駅についてみれば列車の遅れはさしたるものではなく、思いの外早く横浜に着いてしまい、さあこの時間をどうしようかなどと考え始めたとき、先日、12月31日までやっていることを知り、それ…

『相互行為秩序と会話分析』

来年に向けて、とある課題に取り組まなければならなくなり、そのとっかかりとしてようやくこの本を読む。何をいまごろですが、これ、よい本だと思う。6章がいちばん面白い。しかし、困ったことに、私が議論の軸にしようと考えていたアイデアは基本的にこの…

クリスマス・ストーリー

タイトルからだとこころひかれるものがないのだが、面白いらしいという評判を聞いて見に行った。登場人物が多いし、人によって相手の呼び方が変わるのでときどき誰のことを話してるのか分からなくなったりしたけど、面白かった。主人公が精神的なトラウマ抱…

三尾公三展(岐阜県美術館)

最近ずっと余裕がなくて美術館へ行く機会などなかなか作れなかったのでまとめて二つほど。三尾公三って何者だろうと思ったら、『フォーカス』の表紙を描いてた人なのですね。だまし絵風の絵はみていてけっこう面白かった。

『教師と学生のコミュニケーション』

先週には読み終わっているはずの積み残しを片付ける。西洋の近代化を前に非西欧諸国がそれに追随しようとその知識の導入をはかるとき、いずれか二つのやり方で対応しなければならなくなる。すなわち、科学知識等々を母(国)語に翻訳して導入するか、それと…

This Is It

テレビでやっていたので何となく見てしまう。もちろん、前の余計な部分が終わってから。バックのダンサーとマイケルって体の動くメカニズムがまったく違ってるような感じがする(たとえば、体つき)。死ぬ目前にこれだけのことがやれてたってことは、何を意…

Free Spirit

たまたま見かけて購入。すっごい久々にチャーを聞く。たぶん「伝説」といってもいい、79年日比谷野音のフリー・コンサートでデビューするジョニー・ルイス&チャーの「ライブ」盤。いまじゃコンプリート盤も出てるようですが*1、これでも十分。日本語の詞は…

「石上純也 建築のあたらしい大きさ」(豊田市美術館)

模型だけ見てると、これって建築なのかいなという疑問が湧いてくるような空気とか雲を連想させる「建築らしくなさ」がありつつ、一方で、いくら模型とはいえこんな繊細な構造物がよく立ってるなと驚かずにはいられない。そして、実物の映像もあった「神奈川…

山下達郎といえば

最近、これと移籍前のベスト盤「グレイテスト・ヒッツ!」(もちろん、本人リマスターの方)をよく聴いている。個人的には、これが山下達郎のベスト・アルバムではないかと思っている。 僕の中の少年アーティスト: 山下達郎出版社/メーカー: ダブリューイー…

「442日系部隊 アメリカ史上最強の陸軍」

第二次世界大戦で米軍最強と言われた部隊が、日系人によって組織されていた部隊だったというのがなんとも。しかも、それを支えていたのが、いわゆる日本人のメンタリティだったのだからというからいやはや。彼らが、米軍への協力を拒絶して収監されるのも一…

大貫妙子・坂本龍一

今年の年末ライヴは芸文はでかいので刈谷にしたうえでこれでしめることにした。大貫妙子の80年代の傑作群を手がけた坂本龍一と共演するのだから、これはきっと楽しいでしょうと。合間に、坂本龍一のソロもはさんで、その通りだったんだけど、アンコールで…

『自分自身を説明すること』

アドルノを引きながら論じているこの言葉は書き記しておきたい。 倫理の基盤として自己保存を主張する際の問題点の一つは、それが、道徳的ナルシシズムの一形式とまではいかないまでも、純然たる自己の倫理になってしまうことである。人は、こうした傷に対す…

ジラールとデリダ

この説明はよく分かる。 共同体は自身で犠牲者を聖なるものにすることで生みだした起源を仮定しているのである。処女発生によってではなく、遡及的発生によって、自身が生みだした起源を自身のものとすることによって、共同体は自身を生みだしたのである。 …

シルビアのいる街で

あるかないかのストーリーで一本見せてしまうのだから、これは相当なものでしょう。ネタバレ注意と言っているばやいではない。

『スティグマ』

で、その『スティグマ』。この議論のネタ元はおそらくはジンメルのよそ者論に由来する。ただ、ゴッフマンの場合は、個人に帰属される社会的アイデンティティの食い違いからスティグマを説明するということで、ジンメルでは認識論的だった問題設定が相互行為…

『ユダヤ人』

サルトルとゴッフマンには似たところがあり、だからまた『スティグマ』とこの本にもよく似たような指摘が出てくるのだが、あまりそういう言及は見たことがない。 ユダヤ人 (岩波新書)作者: J‐P.サルトル,Jean‐Paul Sartre,安堂信也出版社/メーカー: 岩波書店…

メンミ『人種差別』

頁をめくってみると以前読んでいるはずなのだが、まるで記憶に残っていない。それはともかく、ある種の古典に位置づけられるような本ですね。メンミは人種差別をいかのように定義している。 人種差別とは、現実の、あるいは架空の差異に、一般的、決定的な価…

「そのときにSIGHTがはじめて、政局に縛られない、新しい思想と知恵を語る雑誌になるんじゃないでしょうか。政局がおもしろいっていうのは、国民にとって不幸なことですよ」

と、発言している藤原帰一氏に激しく同感。本号も前号に続いて特集が面白くない。有り体にいって、いつまでも政局がらみの話ばかりしてるからだと思う。以前「小沢一郎を卒業します」って特集を組んだのに、総裁選後の政界再編を占うこの特集は、結局のとこ…

『社会集団の再発見』

これがいちばん内容が理解できたし、とくに群衆のところなんかは、面白く読めた。やはり教科書は理屈が分かりにくい。考えようによっては、ジンメルの議論のひとつの展開としても読めるのかもしれない。しかし、文脈でカテゴリーが決まるとか、集団カテゴリ…

社会的アイデンティティ理論

もってたのでこれも読んでみた。すごくつまずいた。これもノー・コメントでいきたいところだが、少しだけ。個人がどのような集団カテゴリーを採用するかが重要なら、同様に個人がどのようなカテゴリーを採用して社会現象を理解するかも同じように重要だと思…

『オルレアンのうわさ』

いまごろになってこの著名な本を読む。うわさが広がっていく背景はこんな感じで説明されることになる。モランの本って、随分と訳が出続けているけれど、あんまり言及されているものを見たことがない。どれくらい読まれているのでしょうね。この本の考察とか…

集団間関係の社会心理学

こんな本が出てると教えてもらって読んでみてけれど、内容についてはノー・コメントだな。教科書的には便利。ついでに読んでみるかと、関係しそうな本を調べてみたら絶版のものが多く、アマゾンあたりではかなりよい値がついてるではないか。いくつか持って…

ひとつ上までいっても

一つ上までいってもその上にやはり「問題がない」という報告を受けた人がいるわけですよね。この人は、その話を鵜呑みにして何もしなかった責任は問われないのでしょうか?そもそも渦中の人になっているのは一つ上の人までで、もう一つ上の人までいかないの…

なぜかロキシー

ロキシー・ミュージックというと、とりわけ解散前、初期のイーノがいた頃という話になりがちなわけで、かくいう私も聞き始めはそうだったわけですが、でも聞いていくうちに、『アヴァロン』にかぎらず、再結成後のロキシーもいいじゃないかということになっ…

誰もペルシャ猫を知らない

こんなイラン映画みたことがないというか、こんなテヘランみたことがないというか。民族音楽から、ロックはもちろん、メタル、フュージョン、ラップまでテヘランのアンダーグラウンドでこんなに多様な音楽が演奏されているなんて思いもよらなかったし、ゴミ…

柳家小三治独演会

今年は去年みたいになが〜いマクラはなかったけど、マクラふってるうちに調子があがってきたという感じで、厩火事と百川。厩火事は、小三治にとって、一番好きな噺かもしれないそうで、これこそ人情話じゃないかって。いかにも、彼らしい言葉だと思った。百…

『触発する言葉』

さらに読んでみると、合州国での実例が出てきて、ポルノや差別発言の扱いをめぐって、言ってみれば、それが発語内行為に相当するのか、発語媒介行為に相当するのか、ヘゲモニー争いをしているような状況があり、それを国が判断するという奇妙な状況が生まれ…

『触発する言葉』

出た時にすぐに原書で買ったのに、いまごろになって、翻訳で読んでいる。とりあえず、序を読んだんだけど、「もしーなら」とか「だろうか」とかいう修辞的表現が頻出するせいもあって、議論の筋道がいまいち分からない。原書もひっぱりだしてみる必要がある…

『オリエンタリズム』

やっと読了。じゃあ、具体的に東洋人(オリエント)がどのように表象されたかといえば、たとえば、「オリエントの後進性、退行性、西洋との不平等といった命題は、19世紀初頭に、人種差別理論の生物学的根拠をめぐる諸観念といともやたすく結び付いた」(22…

証拠の改竄だけが問題ではない。

たしかに、検察が証拠を改竄したら、そんな恐ろしいことって話になるのだが、ちょっと待ってくれ。新聞報道によれば(本日付『朝日』夕刊)、この主任検事、検察のエースと言われながらも、その手法はかなり問題があったようだ(どんなパーソナリティなんだ…