2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

足りないのはナショナリズムである

ボクはこういうことを言うガラじゃないと思っているのだが、そうは言いつつ、最近、時々こんなことを口走っており、この雑誌の特集を読みながら、また、それがアタマにもたげてきたので、この際書いてしまおう。日の丸・君が代が事実上強制になり、教育基本…

ジェイ・ラムネー『スペンサーの社会学』(風媒社1970)

しばらく前に古本屋で入手したこの本を講義の準備のために読む。コントは、比較的入手しやすい翻訳もあるし、コントについて書かれているものもそれなりに見つかるのだが(院生時代読みましたよ)、スペンサーとなると、『世界の名著』に採択された翻訳も、…

高島善哉『アダム・スミスの市民体系』

とりあえず、他にも自宅にあったスミス本ということでこれを読む。「社会の発見」という主題を据えたとき、以下の記述は、この点でスミスがどう位置づくかを考えるうえでとても有益である。また、ミードとの連続性も簡単にではあるが、注で指摘されていた。 …

マクフィー『社会における個人』

ちょっと古いけれどアダム・スミスについて『道徳感情論』を中心に論じた本ということなので、気になって読んでみた*1。そのなかで、カントにみられるような積極的な個人的責任が弱体化しているという、スミスの『道徳感情論』に向けられる批判について以下…

立川談春独演会

また行ってる。でも、会議が延びて遅れちまったよ。「三人旅」の途中から。でも、中入り後に「紺屋高尾」が聞けたのはよかった。「紺屋高尾」というと、ボクのアタマのなかには故円生のそれが焼き付いているのだが、談春の味付けは、円生のそれがもっと軽い…

RC "Please"

おー、一曲目は「ダーリン・ミシン」ではないか*1! PLEASEアーティスト: RCサクセション,忌野清志郎,G忌麗,G1、238、471,小林和生,仲井戸麗市出版社/メーカー: USMジャパン発売日: 2008/12/17メディア: CD クリック: 3回この商品を含むブログ (3件) を見る …

『不安定雇用という虚像』

本来なら昨春読んでいるはずの本を、いろいろ事情があって、今頃になって読んでいる(今年はこういうのが多くて大変)。しっかし、すっごいタイトルのつけかた。非典型労働に従事する人たちがどのような状況に置かれているかをパート、フリーター、派遣に分…

ジャン=クロード・シュミット『中世の身振り』

先達が自分と同じような仮説に立っているということが分かるというのはなんとなくうれしい。デュヴィニョーの次のような記述にぶちあたってこの本を読むことにした。 この種の社会では集団や個人の体験の基礎をなす公の振る舞いや物腰ははっきりと限定されて…

『バオバブの記憶』

バオバブというとまず『星の王子さま』を思い出してしまうのだが*1、これはセネガルの話*2。バオバブの樹が信仰も含めて村人の生活にどれだけ結びついているかを追いかけたドキュメンタリー。もちろん、裏側にはセネガルでも都市化が進んでバオバブの樹が切…

ダニエル・モルネ『十八世紀フランス思想』

ちょっと古い部分もあるようだが、18世紀フランス思想を概観するうえではとても便利な本。もっとも今でも入手可能かどうか分かりません。それに、私としては18世紀に見出されていく「感情」がどのようなものなのかをもう少し詳しく知りたい。 十八世紀フ…

ロナルド・ドーア『誰のための会社にするか』

ボクにとってドーアという人はとても微妙な立ち位置にいる人なのだが、そうはいっても彼の書くものはとても面白いし、心動かされるものがあるのもまた確かだ。なぜか読みそびれていたこの本を今頃になって出先の合間合間に読了。いくつか気になったところを…

田村哲樹『熟議の理由』

先週の続きをやる気力がなかったので、ちょっと気になっていたこの本を読んでみた。サーヴェイが行き届いていて目配りもよく、熟議民主主義をとりまく論点を知るうえではとても役に立つ本だった。でも、この人、何がやりたくてこんな本を書いているのかいま…

シリアの花嫁

これも二つの合間に。イスラエル占領下のゴラン高原からシリアに花嫁が嫁いでいくストーリー。家族のあいだにいくつも入りこんでくる問題、信仰、出稼ぎ、女性の置かれた立場等々をからめながら話が進んでいく。男兄弟たちが軽々と国境を超えてしまっている…

ヴェントゥーリ『啓蒙のユートピアと改革』

合間に読みかけのこれを読了。中世の共和国(イタリア、オランダ等々の都市国家)の思想が、絶対王政期にどんなかたちで啓蒙思想に受け継がれていったかを概観していった本。それがベッカーリアまでつながっていくというのは面白い。しかし、当座読む必要の…

RCSUCCESSION "BLUE"

今日はこれを聴いていた。一曲目からよいですが、個人的には古井戸時代にチャボが書いた「飲んだくれジョニー」に清志郎が手をいれた「ジョニー・ブルー」に思い入れがある。 BLUEアーティスト: RCサクセション出版社/メーカー: USMジャパン発売日: 2008/12/…

デュヴィニョー『俳優』

西欧演劇史の次はこれ。デュヴィニョーという人は、社会学者ということになってるんだが、著書を見ていくと何者だか分からない感じがする。でも、なんか楽しそうなことをやっている、というわけで、古本屋で見かけるたびに彼の本を買い集めてきたのだが、そ…

ダントレーヴ『政治思想への中世の貢献』

やりすぎと思いつつ、もう少しアリストテレスおよび自然法の関連で聖トマスについて知りたかったので、この本を読む。 政治的諸制度はしたがって、聖トマスによれば、「自然的」道徳性の一側面ないし一部である。そうしたものとして、それらは、宗教的価値か…

山森亮『ベイシック・インカム入門』

目配りのきいたよい本だと思った。ボク自身、ベイシック・インカムってどれほど現実味のある話なのかという疑問が先にたって、あまり立ち入ってこの問題について考えてみようと思ったことがなかったのだが、ベイシック・インカムにつながっていくこれまでの…

ミルク

ガス・ヴァン・ザントの新作。映画としては前二作に比べるとふつうの映画で、作品的には前二作の方がよかったと思う。でも、ショーン・ペンの演説をする姿(だけではないが)は悪くない。いまハーヴェイ・ミルクの映画を見ると、東海岸からサン・フランシス…

グラン・トリノ

これがイーストウッド自身が出演する最後の作品になるらしいのだが、ラストを見るとなんとなくそれが分かるような気がした。やっぱり、これまで画面で見てきた彼の姿が重なってくるしね。 最近見た別の映画に引きつければ、ある意味で生きていくとは原罪(sin…