アートをとりまく状況は、当時(原著1954年)と今ではかなり変わってしまっていると思うし、だからまた、加えて考えるべきことはあるのだろうけれど、でも、まだこの本は有効だと思う。文庫解説の赤瀬川原平のことばはよくそれを示している。「たしかにこの本の書かれた時代と違って、前衛芸術の概念は、いまや市民レベルで展開されてい」る。「では岡本太郎のいう世の中になったのかというと、気分では違うのである。いわゆる前衛芸術的なやりくちがあふれた結果、それがただのふつうのスタイルになっているのだ。前衛芸術は誰もがやるもっとふつうのスタイルになることで、どこかへ蒸発してしまったのである」。
今日の芸術は、
うまくあってはいけない。
きれいであってはいけない。
ここちよくあってはいけない。今日の芸術―時代を創造するものは誰か (光文社知恵の森文庫)
- 作者: 岡本太郎
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 1999/03/01
- メディア: 文庫
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「この本を通じていわれていることは、今の問題はいつの世も未来形としてある、今の形としてはあり得ない、ということではないだろうか」。