2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

なぜかプーチン

今日もお昼にドキュメンタリー。プーチンが大統領になったとき、なんでいきなりととても不思議だったのだが、これを見てよく分かった。エリツィン政権の末期、エリツィンの健康状態は最悪で政治的決定のかなりの部分はエリツィンの家族など取り巻きたちが行…

黒住真『複数性の日本思想』

この本の最後の部分は公共性論だったことに今頃気づいた。あっと思ったのは、田原嗣郎の議論に添えられた次の指摘。確かにそのとおりだ。 しかしこの事の反面は、当然、「公」の側にも及ぶ。「私」が消極的であるならば、さしも積極的な「公」が一朝「私」と…

小泉劇場とどぶ板選挙はどっちが民主的なんだろうか

と、昨日ちらっと書いたわけですが、それはこんな次第。これスコッチポルを読みながら思いついただけで、とくに調べたわけでもないから、根拠は薄弱かもしれない。その点はお含み置きを。あの本を読みながら気になってきたのは、自民党議員の後援会組織に基…

なぜかパキスタン

国際情勢を考えるときパキスタンが重要な位置を占めるということに気がつくようになったのはわりと最近のことだった。そしたら、あっという間にブット元首相が暗殺されてしまった。なぜ重要かといえば、よく言われるように、パキスタンはアメリカのテロ対策…

なぜかアフガニスタンの女性について

またまた某国営放送で放映されたドキュメンタリーを昼食時に。「解放後」のアフガニスタンの女性がどんな風になっているかを追いかけたものでイギリス制作。カブールではブルカをかぶった女の乞食がいる。男の支援が得られない女は乞食をせざるをえないのだ…

スコッチポル『失われた民主主義』

すっごく面白い本。「アメリカ人はジョイナーである」というのはトクヴィル以来よく指摘されることだが、このとき、結成される様々なヴォランタリー・アソシエーションは地域のコミュニティに根ざしたものだとイメージされがちだ。「彼らは、合衆国の市民社…

津田敏秀『医学者は公害事件で何をしてきたのか』

疫学の基本的な知識を学びながら、水俣病事件をはじめとする「公害」事件で「医者」を筆頭に「学者」が何をやってきたのかを実名をあげて検証する作業。その構図はある意味わかり切ったことだったとは言え、それが具体的にここまで逐一明らかにされると、ち…

『リンダリンダリンダ』

映画公開時に見そびれていのだけれど、しばらく前に放映されたので、録画しておいた『リンダ・リンダ・リンダ』を見る。これがなかなか面白かった。最初に、とある女子高生が画面に映って、私たちの青春のなんたらとか学祭への抱負みたいなことが、ただし、…

『≒草間彌生 わたし大好き』

われわれはふだん自分が何事かに一心不乱にのめり込んでいる姿を人前ではなかなかみせないものだ*1。他方、スポーツ中継の面白さの一つは、画面を通してそうして没入する姿が人前にさらされてしまうところにある。なかでも面白いのは囲碁や将棋の中継だ。ふ…

山本七平『空気の研究』

それからこれも読んだよ。KYなんて下卑た言葉も流行ってるらしいし。その都度状況依存的に正当化されるのが「空気」であり、それに水をさす。でも、この水もいずれは空気になってしまうと。KYってのはこの「水」のことですな。でも、KYなんていわれてしまう…

桜井徳太郎『結衆の原点』

『思想の冒険』所収の論文と同タイトルの本が出ていたので、入手して読んでみた。部落の平準化の機能について秘密、つきあい、神事と祭事、講といった項目を取り上げて検討を加えた本。でも、一番、気になったのはやはり、平準化の機能が差別と裏腹だという…

『実録・連合赤軍』

12月に公開されたとはいえあれこれ3月までやってるからと、ずっと先延ばしにしてきた『実録連合赤軍』を見てきた。話には聞いていたけれど、やはり見ていて正直つらかった。3時間という長さはあまり気にならなかったけど、山岳ベースでリンチされた全員…

下方倍音理論

東大や芸大で菊地成孔がどんな感じでしゃべってるんだろうというのは前々から気になってたりするわけで、名古屋でトークがあるというので、その一端が聞けるかと出かけてみた。面白かった。 エイゼンシュテインが試みたみたいに映像と音の組み合わせを一般論…

きだみのる

部落のことについて調べているうちに、きだみのるのことが気になりはじめた。本名は山田吉彦、マルセル・モースの弟子で、L・ブリュル『未開社会の思惟』やファーブル昆虫記の訳者とくると、名前だけは知ってますという感じだったきだみのるが思いのほか自…

なぜかデンマーク

たまたま目にした某国営放送のドキュメンタリー。デンマークは911後のアメリカのアフガニスタン侵攻にあわせて軍隊を派遣しており、派兵に際してデンマークの首相は人道的な配慮がなされていることを強調していた。だが、実際には、米軍は戦時捕虜の取り扱い…

バレエ・リュス

ディアギレフの死以降のバレエ・リュスの変遷を関係者の話を聞きながら再構成するドキュメンタリーで、ある意味、アメリカにバレエが定着していく過程を追ったものにもなっている。なかにはネイティブ・アメリカンのバレリーナが出てきたり、才能がありなが…

尾藤正英『江戸時代とはなにか』

渡辺本で引かれていたのを機にこの本のことを思い出し、改めて読了。あら、いつのまにか文庫化してましたね。いまの日本を知るためには応仁の乱以降を見ておけばよいというわりとよく知られた話(内藤湖南)があるわけだが、この本ではそうした中世から近世…

テルミン

つい『大人の科学マガジン』のテルミンminiを買ってしまう。むかしから、これ、いじってみたかったんだよなー。もちろん、まずやってみたいのはビーチボーイズのあれなのだが、これが以外とむずかしい。あの映画もいいんよ。実は、電子ブロックも気になって…

渡辺京二『逝きし世の面影』(平凡社)

いやー読んでいてとても幸せな気分になれる。読みながら勝小吉『夢酔独言』のことを思い出した。ああいう感じの世界だよね。そして、世界を見る眼差しとしてはマッキンタイアの『美徳なき時代』に近いと言っていいんじゃないだろうか(もっとも、スタイルは…

D・キーンの見たニッポン

ドナルド・キーンの出る番組があるというので録画してみてみた。面白かった。もっとも、キーンが語るのは幕末期に欧米人が見て取った日本人の知性をめぐるエピソードであり、それこそ司馬遼太郎の小説あたりを読んでいれば、その少なからずは必ずしも初めて…

市井三郎『歴史にとって進歩とはなにか』

このあいだの論点を簡単に確認*1。いまや人間や社会の進歩などを当たり前のように信奉することはできなくなってしまったわけだが、まだそんな進歩史観が力を持った時代に、この本は進歩史観への懐疑を言葉にしていく一つの到達点であったのではないかと思う…

なぜか米(今晩はいただきませんでしたが)

食に関してばかりはグローバリゼーションを手放しで礼賛することはどうみても難しそうな気があらためてしてくる昨今、今頃、秋に某国営放送が放映した米にかかわるドキュメンタリーを見ている。これは身近なところでも聞く話だが、国内での米の消費量はどん…

柳田耕一『水俣そしてチェルノブイリ』

読みながら、これでいくと農協って〈第二のムラ〉ってことになりそうだと思った。その昔、私がめずらしく出席していた講義で、下斗米信夫(先生)が、旧ソ連の農業の集団化のせいで、ロシアの農民のよき伝統が根こそぎにされてしまったという話をしていたの…

『愛の予感』

某所からオススメと聞かされていた作品がやっと名古屋で公開。アタマとケツをのぞけばセリフがいっさいなく、映像も見ようによっては同じことの繰り返し、と至ってシンプル。でも、その差異をはらんでくる繰り返しのリズムが心地よい。そんななかで、女が目…

I Don't Like Monday

何をいまさらだが、今頃になってこの曲の歌詞を調べている。この歌、1979年にカリフォルニア州サンディエゴの小学校で銃乱射事件を起こした女子高生が、なんでそんなことをしたんだと聞かれて「だって、月曜日が嫌だから」と応えたことに由来。 この歌のヒッ…

福田克彦『三里塚アンドソイル』

終了間際になってこの本のことを思い出し、あわてて読了。当面の仕事の最後にこの本を読めたことはとても幸せだった。いろんな意味で泣けてくる。ボクの記憶では一箇所、守田志郎に言及しているところがあった。そして、守田と福田の農村に対する見方は大方…

『村落構造論』

なんでオレが農村社会学の勉強なんかせなあかんのやと思いつつも、守田志郎の本だけで分かったつもりになってはまずかろうと思って読了。これがなかなか面白かった。分かったことには、守田の本を読んで思いついたことなんて基本的にはすべて議論されている…