2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

表象は感染する

というわけで、『関連性理論』の前後の邦訳のあるダン・スペルベルの単著を読んでみた。この人首尾一貫して同じ問題意識で考えており、それがだんだん洗練されて行っているのがよく分かる。しかし、この領域横断的な発想法には正直、舌をまく。私は、立場上…

象徴表現とはなにか

この本、通読した印象がないというか、ほとんど内容がアタマのなかに残ってないんだけど、最後まで線が引いてあったから読了していたらしい。だったら、なぜ気づかなかったんだろう。関連性理論の原型はほとんどここに出ているではないか。しかし、象徴の「…

人類学とは何か

訳者は菅野盾樹さんだし(ってか、彼がずっと注目していたんですね)、序文はこれ人類学なんかいなという調子だし、理論人類学というけど、メタ人類学というか人類学批判みたいな感じ。なによりも、文化人類学と心理学は相互補完的なんですね。そして、付録…

一般言語学の諸問題

いまから思えば、スペルベル&ウィルソンの発話行為論の分割は、基本的にはバンベニストの議論を踏襲したものなんだな。で、上記議論に違和感を覚えるのは、実は、バンベニストの線引きと一致しなくなるからである。また、バンベニストは人間の言葉の特徴を…

ひとは発話をどう理解するか

久々に再訪。スペルベル&ウィルソンの『関連性理論』とつきあわせて読むと、解説や補足になって便利。しかし、こうした拡張はありなのかと思えるところも。とりわけ「祈願」(good wishes)を命令や依頼と同様のカテゴリーとして扱えると考えるところに違和…

関連性理論

ようやく、原書とつきあわせるところまで到達。いま読み返してみて、なぜか以前より話がアタマにすらすら入ってくるようになったんだけど、結局、この訳あまりよいものではないなと思った。誤訳ではないけど、何を言ってるのかよく分からないとこが結構ある…

チャーリー・ギレット

エースからチャーリー・ギレットのラジオ番組名義のこんなコンピが出ていることを知る。かたやデイヴィッド・ボゥイーのベスト盤を聞きながら、ついついいまの自分はこちらが好きだなと思う昨今。人間の気持ちは複雑です。 Charlie Gillett's Radio Picks Fr…

関連性理論

関連性を論じるにあたって、動機みたいな語彙は一義的には排除されてしまうんだな。 関連性理論―伝達と認知作者: D.スペルベル,D.ウイルソン,Dan Sperber,Deirdre Wilson,内田聖二,宋南先,中逵俊明,田中圭子出版社/メーカー: 研究社出版発売日: 2000/08メデ…

関連性理論

ひたすら要約を作って議論の構成を吟味できるようにしている。関連性理論―伝達と認知作者: D.スペルベル,D.ウイルソン,Dan Sperber,Deirdre Wilson,内田聖二,宋南先,中逵俊明,田中圭子出版社/メーカー: 研究社出版発売日: 2000/08メディア: 単行本 クリック:…

関連性理論

(続き)文脈はあらあじめ与えられているのではなく、理解過程の全段階で特定されていく。この特定にあたっては、「新しい想定を処理するのに使われる文脈は、本質的には個人の古い想定の部分集合であり、新しい想定がそれと結合して様々な文脈効果を生みだ…

関連性理論

昨日から、スペルベル&ウィルソンの『関連性理論』を読み返しているのだが、あらためて読むとあげられてる事例からではこの議論にほとんど説得力が感じられないのに驚く。あ、掘り下げようとするポイントは面白いですよ。しかし、これでは2章に読み進めら…

私の1960年代

山本義隆がとうとう自らの運動経験を振り返ったというわけで。最初は全共闘が成立していくまでの過程で、これは面白いと読み進めていったのだが、途中から、ご本人の仕事にもつながる、明治以降の日本の科学技術の発展を振り返る部分に突入。そもそも科学と…