2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

人のセックスを笑うな

いつのころからか「オジさんになってよかったかも」と思ったりもするようになったのだが、そう感じられるのは、若い頃よりも精神的にはずいぶんと自由になった気がするからだ(時間的には真逆ですが)。歳をくって分かってきたことには、実は大人って相当ガ…

『ペルセポリス』

朝から原稿書いてたんだから、もうアタマも働かないよ、夜ぐらいはよいだろうとペルセポリス。がら空き。でも、『テヘランで『ロリータ』を読む』のサブテキストとしてもオススメ*1。子連れも可。どこにでもいそうな女の子が、当然のことながら、イランにだ…

平田清明『市民社会と社会主義』

個体的所有のおさらい。私人と個人は異なる。「「個人」とはたんにバラバラな人間であるのではない」(137頁)。「個人は、共同体の始源的存在を前提にするのである。そして、この私的な、つまり排他的な個人は、直接に相互に対立しあいながら、じつは、最も…

住谷一彦『共同体の史的構造論』

住谷一彦も日本の村落共同体を「同族階層制」「年齢階層制」「世代階層制」に分けて、桜井とよく似た問題設定を確認している。もっとも、だからそれだけ解体しやすいという話になるのだが。 このことは、また多くの場合こうした「年齢階層制」村落が漁村にみ…

神島二郎『近代日本の精神構造』

神島二郎は、自然村に相当する〈第一のムラ〉と〈第二のムラ〉を区別する。〈第二のムラビト〉とは、〈第一のムラ〉の秩序意識を身につけた、学校出身者や出郷者のことであり、彼らが〈第二のムラ〉を作る。 このような自然村的秩序が、〈第二のムラビト〉に…

「私は毎朝学校に出かけていくのが、段々億劫になった」

山高帽子/眠り姫を読んだ。映画も内田ワールドだってことが分かった。その方に限らず、気違いと云う程でなくっても、何となく変なお客様ってちょいちょいありものよ。そんな方はきっと人をつねりますのね まあ一つの思い込みを捨てて解放されるというのは悪…

ホブズボーム『共同体の経済構造』

おや、ホブズボームは『資本制生産に先行する諸形態』のマルクスは段階論を採用していないと述べていますね。39頁あたり。 共同体の経済構造―マルクス『資本制生産に先行する諸形態』の研究序説作者: E.J.ホブズボーム,E.J. Hobsbawm,市川泰治郎出版社/メー…

鶴見和子・市井三郎編『思想の冒険』

色川大吉「近代日本の共同体」 ここでは、村落共同体を日本的ファシズムの温床とみるような見解にたいする異議が展開される。まず、そのポイントは、「擬制地域共同体である村落自治体」と「部落」(伝統的な小地域共同体)の区別して、(当時)解体しつつあ…

宇多田ヒカル

ふと気になり、すっごく久々に聞き返してみたら、やっぱりよくできてると思った。しかし、もう10年近くになるのですね。First Loveアーティスト: 宇多田ヒカル出版社/メーカー: EMI Records Japan発売日: 1999/03/10メディア: CD購入: 3人 クリック: 146回…

大塚久雄『共同体の基礎理論』

前述の「思想の冒険」グループあたりが論敵としていたであろう大塚の議論をおさらい。封建的な生産様式が崩壊し資本主義的な生産様式に移行にするにあたっては、「共同体」の崩壊が伴う。共同体には「土地の共同占取と労働用具の私的占取」という「固有の二…

鶴見和子・市井三郎編『思想の冒険』

のちに不知火海総合学術調査団の中核メンバーになる近代化論再検討研究会の共同研究の成果。とりあえず前半。いま読むと文革臭がいやはやなのだが、市井三郎の言う「責任を問われる必要のない「不条理な苦痛」」(47頁)という概念が気になる。市井三郎という…

鶴見和子『漂泊と定住と』

先だって亡くなった鶴見和子の高名な本を今頃になって読む。読み終わって複雑な気分。あらためて読むと、どうも掛け声的な部分が大きいなと思わざるえをえなかった。件の「漂泊」と「定住」にしてももっと具体的な作動メカニズムが知りたかったし。文革を背…

民族主義の帰結

民族主義を唱えた顛末がどんなものになるのか?思えば、明治維新だって攘夷はどこへいったって格好になったし。 どういう形にせよ、民族主義を主張するグループがユダヤの内部で実際的な勢力を得るとすれば、ユダヤ民族主義を強固にとなえていくこと以外には…

棒ふり

テレメンで、小澤征爾が若手の指揮者に「棒ふり」の指導をするというドキュメンタリーをやっていたのだが、これが面白かった。言われてみれば当たり前とはいえ、オーケストラの音を合わせるためには、まず指揮者の息と演奏者の息をあわせなければならない。…

眠り姫

こないだ見に行ったのはよいものの前半熟睡してしまい、なんだか気になるとはいえ、でもひと月やふた月はあいだをあけたいなと思いつつも、今週一週で終わってしまうので、仕方なしにまた見に行くことにしたところ、今度はよかった。 ところで、この映画だが…

バート・バカラック

もうじきバート・バカラックが来日するからというわけでもないが*1、ライノの3枚組のコンピを聴いている。久々にバカラックを聴いているとなんだかとても落ちついた気分になる。「いつでも夢を」を耳にしたときも思ったのだが、オケをバックに歌うスタイル…

川島武宜『日本社会の家族的構成』

丸山と大塚は読んでいるのに、実を言うと、川島は読んだことがなかった。でも、ちょっと気になってきたので、とりあえず手近なこれを読んでみる。まあいわゆる近代主義的な調子がハナにつくといえばハナにつくのだが、話としてはよくわかります。 戦前の民法…

イデオロギー批判

考えてみれば、田川建三ってずっとこういう作業をやってきたんだなー*1。そして、構築主義とかで騒いでいる事柄も基本的にはこの問題設定の延長にある。 何故駄目かと言うと、この整理区分けの論理ですね、つまりイエスの思想を、終末論、倫理、神観という三…

リーダーバッハ『ハイデガーと和辻哲郎』

とりあえず3章だけ。この章だけ読むと、わざわざハイデガーと比較しなくてもいいのではとも思ってしまうのだが、 ハイデガーにとっては、実存(エグジステンツ)は純粋に現存在の時間性から、すなわち現存在が〈おのれ自身に先んじていること〉から規定され…

カエサルのものはカエサルのものに、神のものは神のものに

皇帝のものなら皇帝に返せばいいだろう。神のものは神に、というので諸君は神殿税を取り立てているのだからな(40頁)。 思想的行動への接近―イエスと現代 (1979年)作者: 田川建三出版社/メーカー: 河田稔発売日: 1979/10メディア: ?この商品を含むブログを見る

「いつでも夢を」

朝のゴンチチの番組でかかった橋幸夫の「いつでも夢を」にふとひかれる。はじめてきいたわけでもなし、かつてならありえなかったことだろうけど、それで、もうこんな歌がヒットすることはないんだろうなと思う。

和辻哲郎『倫理学』

二巻も読了。こりゃデュルケムやジンメルなんかと一緒に和辻も読んでおくべきですな。 倫理学〈2〉 (岩波文庫)作者: 和辻哲郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2007/02/16メディア: 文庫この商品を含むブログ (18件) を見る

「第三世界には女はいないのですから」(33頁)

とある古本屋の棚でこの本が私を呼んでいたのでつい買ってしまう。『テヘランで『ロリータ』を読む』のせいですね*1。最初の「女のすばらしいところ」だけ読んでみたけどこれは当たり。サーラ・スレーリが描く祖母ダーディの姿がどうしても石牟礼ワールドの…

マリインスキー劇場の『白鳥の湖』

今日で和辻の2巻は読了というつもりだったのだが、夜になってついついマリインスキー劇場の『白鳥の湖』を見てしまう。クラッシック・バレエってモダン・ダンスよりも体の使い方が単調な感じがして、わりと敬遠してしまうのだけれど、でも、自分で腕の一本…

ティム・バックリー

最近のヘヴィー・ローテションはこれ。ジャズっぽい感じがいい。 Happy Sadアーティスト: Tim Buckley出版社/メーカー: Elektra / Ada発売日: 1989/07/10メディア: CD クリック: 1回この商品を含むブログ (13件) を見るLive at the Troubadorアーティスト: T…

丸山眞男と和辻哲郎

助手時代の丸山が和辻の講義を受けいていたことをこの本で確認。ほかにも平泉澄の講義も受けているのですね。そうすると、こんな本があったことを思い出すのですが、どんな内容なんだろう? 丸山眞男―リベラリストの肖像 (岩波新書)作者: 苅部直出版社/メー…

失業率と犯罪

なんと犯罪件数の多寡は9割方失業率で説明がつくそうな*1。 http://www.mii.kurume-u.ac.jp/~tadasu/essay_80114.html 念のため断っておきますが、これは二つが有意な関係にあるということでして、ましてや失業者が犯罪者になるということではありません。…

和辻哲郎『倫理学』

文庫化したことだし、いつまでもひろい読みですませるというわけにもいくまいと読み始めるが、ついつい他の本に流れてしまう。それでも、ようやっと一巻を読了。とりあえず、このあたりの議論を再確認したかったのだけれど、他にも面白い論点がありますね。 …

鹿野政直『戦前・「家」の思想』

もっとも、共同体の思想がただちに国家の思想に結びつくわけじゃない。そこにはどのような操作があったのか。こちらは「家」の思想が国家と結びついてどのように変遷したかを概観した概念史。理念として「家」の思想が再編される一方で、家そのものはどんど…

源了圓『義理と人情』

今週末に合間を見ては読んでいた本。『日本の村』を読みながら、ムラに親和的な道徳意識がどんなものかを簡単に考えてみたけれど、自分の思いつきだけじゃない根拠が欲しいと思って、手に取ったら当たり。これ、面白いよ。この道徳意識は義理と呼んでしまっ…