2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『マクルーハン理論』

相変わらず『プラトン序説』が見つからない。これって、中世ヨーロッパで典礼の「演劇化」が進行していく過程で起こってくる問題なんだけど、よく考えてみれば、普遍論争のことだよね。世俗社会が発展していく過程で、書き言葉の力も大きくなるし、キリスト…

池上俊一『歴史としての身体』

さて、これまでいくつか読んできた本からも確認できたと思うのだが、中世の人間にとって身振りや言葉づかいは相手にとって意味を持つというだけでなく、宗教的な意味合いを持っていたというか、「実在する」とされる神や悪魔ともかかわりあっていることにな…

ル・ゴフ『中世とは何か』

ル・ゴフのインタビュー本。ル・ゴフは中世のメルクを、中世に登場した新しい階層である、取引を行う二つの職業人に見ている。 商人=銀行家や知識人を通して、私は中世についての考察の品質的な枠組みを設定できたと思っています。この二つの社会階層の出現…

ル・ゴフ編『中世の人間』

これも期待した内容からは少し外れた本だったけど、面白く読めた章もあった。とりわけ、グレイトゥゼンの話の先触れになるような部分。たとえば、都市にはギルドのような組合とは別に、かなり濃密な相互扶助関係を強いられる居住地区での顔見知り同士の関係…

『リミッツ・オブ・コントロール』

ジム・ジャームッシュの新作。行けるときに行くべしということで、先週へろへろの状態で見に行って、とりあえずここで問題になっているのはある「選択」なのだということは分かったものの、いろいろ仕掛けがありそうなので、こりゃもう一度見なければ話にな…

オング『声の文化と文字の文化』

グレーヴィチを読んで、この本を読んでみると、身振りの儀礼的性格、個人と世界の未分化等々、グレーヴィチが中世ヨーロッパ社会の特徴として取り出したものの少なからずが、「声の文化」の特徴ときわめて親和性が高いことがよくわかる。というわけで、この…

アーロン・グレーヴィチ『中世のカテゴリー』

私は、中世の専門家でもなんでもないけれど、この本、間違いなく名著でしょう。すっごく面白い。世界を生きる個人とその個人の生きる世界が連続的な関係にある中世の世界像が、中世以前のゲルマンの世界観と対比されながら明らかにされていく。たとえば、「…

燐光群『BUG』

これまで見てきた燐光群の芝居はすべて面白いと思ってきたけれど、今回の『BUG』はボクのなかでは保留。評価をどっちにしたものか固まらない。台風のせいも少しはあろうが、今回はなぜか客席もがらすき。迫力の演技ではあったけれど(でも、前半は主役の女性…

なぜか最近はスガシカオを聞いている

最近、スガシカオの最初の2枚をよく聞いている。この2枚、出た当時、歌詞もそうだったけど、なによりファンキーな感じがとても気に入って*1、ヘヴィー・ローテションになっていた。で、どんなヤツだろうと彼がDJをしているFM番組なんかも聞いていた。あら…

J・ル・ゴフ『中世の身体』

中世の風俗とは身振りの文明であり、身振りは信仰と結びついて極めて儀礼化されている。 中世の風俗の文明とは、身ぶりの文明である。観念の上で、霊性、肉欲の放棄、石の聖堂を志向しているこの世界において、身ぶりの表現は自然なものではまったくない。儀…

グレイトゥゼン『ブルジョワ精神の起源』

もっと違う内容を期待して読んだのだが、おれは何をやってるんだという話にはなりますが、結果的にはとても面白い本だった。ブルジョアジーの生き方・考え方がいかに教会にそぐわないもので、教会がどこまでそれとおりあえて、最終的にはおりあえなかったこ…