2008-01-01から1年間の記事一覧

「魂のおきどころ/アンカー展」

劇場からちょっと歩いたところに松本市美術館がある。その目の前まで来て、そういえば、松本市美術館には草間弥生の常設展ができたんだということを思いだした。目の前にでかいオブジェがあるんだから、あまり思いだしととは言わんでしょうが。たまたま開館…

空気のダンス

勅使川原三郎がワークショップで選んだ10代の若者たちと作り上げた作品。テッシー本人は出ないから今回はいいかと見おくるつもりだったのだが、さる信頼する筋から彼ら彼女たちの内側から出てくるものを感じたという高い評が聞こえてきたので、他方で、そ…

刺繍

『ペルセポリス』の延長として*1。とにかく爆笑。とりわけ女性にお薦め。そして、男ならこれをどう読む?この話も抑圧された状況を生きる女たちのたくましさと括れるかな。しかも、彼女たちの方が意識のうえではわれわれよりもよほど自由な感じがしてくるか…

「不機嫌な職場」でおこる「精神疾患は脳の病気なのか?」

サラリーマンのあいだで自分の職場のことを言い当てられたみたいだとかいうので評判になっている本。読んでみようと思っていたのをやっと読了。たしかに前半は「そうだ。そうだ。」の連続。でも、話が後半に入っていくと「なんだかな」という気もしてしまう…

立川談春独演会

いやー「明烏」やってくれましたよ。この噺大好き。しかも、中入りんときに友人と交わした会話の落としどころで私はその「明烏」のオチを使っていたのだ。なんたる偶然。話し終えて談春師は「アタマのなかを志ん朝師匠が回ってる」って言ってました。 赤めだ…

かつて、ノルマンディーで

ミッシェル・フーコーが編んだ本で『ピエール・リヴィエールの犯罪』という本があるけれど、当時、この本をベースに『私ピエール・リヴィエールは母と妹と弟を殺した』と題した映画が撮られている。このとき監督のルネ・アリオは、主要な登場人物に事件が起…

ダージリン急行

映画について書くのは随分ひさびさな感じがする。なのに、この作品ってうまく説明できない。けど、かなりすごいんじゃないか。まず絵的にスゴイと思う。車内の映像を撮るのとか難しそうだし、色の配置も面白い。話も荒唐無稽で笑えるけれどシリアス。要約す…

生まれてはじめて花を生けた

何もコメントは致しません。ただ、これが意外と面白かったとだけは申しあげておきましょう。

Playing the mind guerrilla

最近なぜかプロコル・ハルムの「青い影」をよく聴いている。ジョン・レノンの「マインド・ゲームズ」のネタ元がこの曲にあることはちょっと熱心な音楽ファンならすぐに気づくことじゃないかと思う*1。 ボクはこんなことを言ってジョンを貶めたいわけじゃない…

ピナ・バウシュ

パンフにあった言葉から 理解できなかったことを理解していくことに関心があります。一緒に笑ったり、感動したり、あるものから身を守るなど、私が感じることに誰かが全く同じように感じてくれると私は自信を得ます。 舞台の上にいなくても私は作品の一部で…

パライゾノート(マレビトの会 作・演出 松田正隆)

正直、前に見た作品もよく分からなかったのだが、なんだかとても気になるので今回も見に行ってみることにした。で、がらにもなくアフター・トークで質問してしまった。 女が一人、それから男が一人あらわれて、舞台が始まるのだが、そのセリフは二人の俳優が…

だるまさんがころんだ(燐光群 笹塚ファクトリー)

いろいろ用事があるからついでに行けたらいいなと思っていたのだが、到底行けそうもなくなり、だから、チケットもとらず、まあ仕方がないかと思っていたら、なんだか行けそうな感じになってきたので行ってみることにした。でも、途中、病人が出たとかで電車…

ロバート・ジョンソン、あるいはうた

昨日のピナ・バウシュたちの公演を思い起こしつつ。夕刻、『サイト』連載の長田弘のエッセイを読んでいたら、ディランが自伝でロバート・ジョンソンについて語っている部分が引用されていた。たしかに、ディランがロバート・ジョンソンの歌について語った部…

『パレルモ・パレルモ』(ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踏団)

先週末から今週末にかけて東の方でいろいろと用事があって、だったらついでにこれも行ってしまおうとチケットを買っておいたのだが、その間にいろいろあってあまりこちらにいられなくなり、これを見に行くのがメインのような格好になってしまった。でも、見…

高齢者にとって自家用車のニーズとは何か?

人をコケにしているとしか思えないやり方に思わず唖然とした。こんなことを指摘されたのだが、まったくその通りだと思うのでここに再録する。 さっきながれたテロップによれば、東京都では、警視庁の呼びかけで、65歳以上の高齢者が自動車免許を自主的に返…

アニー・リーボヴィッツ

体調があまり思わしくないせいもあってついついぼーっとしてしまい、あまり集中できなかったのだが、その分、彼女の写真がどーんと視野に入ってきたように思えた。それとは知らないうちに随分とアニー・リーボヴィッツの写真を目の当たりにしていたのですな…

「それでいいんだよ。「おバカ」で結構」。

最近この雑誌を買うと最初に読むのは高橋源一郎の「世界の中心でなんか、叫ぶ」だ。『週刊現代』の連載とはかなり感じが違う。やはり読み手の層を意識して書きわけてるのかな。で、最新号も「あっ」て感じ。ちょっと前にコウダクミのとある発言が問題になり…

MISIAと宇多田ヒカル

ブック・オフへ行くとMISIAや宇多田ヒカルのちょっと前のCDが250円で売られていたりする。あれだけのクオリティの作品が消耗品扱いというのはいささか寂しいのだが、そうすると、彼女たちの歌は嫌いじゃないがCDを買おうとまでは思わないボクも周回遅れでそ…

青山薫『「セックスワーカー」とは誰か』

いろいろトラブルがあって頓挫していたのだが、先週とある研究会で行われた合評会の課題図書の再訪を果たす。この本、わたしの周囲ではあまり評判になっていないが、とてもよい本だと思う。何よりもこれだけのデータをとって、それにこれだけの分析を加える…

メメント・モリあるいは「氷の世界」:『ゴス展』

横浜美術館の『ゴス展』へ行ってみた。最近の横浜美術館の企画は、市長が代わったせいなのか、ウケねらいに走った企画が多すぎるような気がしていて、これもそんな気分のまま見に行った。ゴスってなんだかよく分からないし、まあよい機会かと。ところが、こ…

なぜかプーチン

今日もお昼にドキュメンタリー。プーチンが大統領になったとき、なんでいきなりととても不思議だったのだが、これを見てよく分かった。エリツィン政権の末期、エリツィンの健康状態は最悪で政治的決定のかなりの部分はエリツィンの家族など取り巻きたちが行…

黒住真『複数性の日本思想』

この本の最後の部分は公共性論だったことに今頃気づいた。あっと思ったのは、田原嗣郎の議論に添えられた次の指摘。確かにそのとおりだ。 しかしこの事の反面は、当然、「公」の側にも及ぶ。「私」が消極的であるならば、さしも積極的な「公」が一朝「私」と…

小泉劇場とどぶ板選挙はどっちが民主的なんだろうか

と、昨日ちらっと書いたわけですが、それはこんな次第。これスコッチポルを読みながら思いついただけで、とくに調べたわけでもないから、根拠は薄弱かもしれない。その点はお含み置きを。あの本を読みながら気になってきたのは、自民党議員の後援会組織に基…

なぜかパキスタン

国際情勢を考えるときパキスタンが重要な位置を占めるということに気がつくようになったのはわりと最近のことだった。そしたら、あっという間にブット元首相が暗殺されてしまった。なぜ重要かといえば、よく言われるように、パキスタンはアメリカのテロ対策…

なぜかアフガニスタンの女性について

またまた某国営放送で放映されたドキュメンタリーを昼食時に。「解放後」のアフガニスタンの女性がどんな風になっているかを追いかけたものでイギリス制作。カブールではブルカをかぶった女の乞食がいる。男の支援が得られない女は乞食をせざるをえないのだ…

スコッチポル『失われた民主主義』

すっごく面白い本。「アメリカ人はジョイナーである」というのはトクヴィル以来よく指摘されることだが、このとき、結成される様々なヴォランタリー・アソシエーションは地域のコミュニティに根ざしたものだとイメージされがちだ。「彼らは、合衆国の市民社…

津田敏秀『医学者は公害事件で何をしてきたのか』

疫学の基本的な知識を学びながら、水俣病事件をはじめとする「公害」事件で「医者」を筆頭に「学者」が何をやってきたのかを実名をあげて検証する作業。その構図はある意味わかり切ったことだったとは言え、それが具体的にここまで逐一明らかにされると、ち…

『リンダリンダリンダ』

映画公開時に見そびれていのだけれど、しばらく前に放映されたので、録画しておいた『リンダ・リンダ・リンダ』を見る。これがなかなか面白かった。最初に、とある女子高生が画面に映って、私たちの青春のなんたらとか学祭への抱負みたいなことが、ただし、…

『≒草間彌生 わたし大好き』

われわれはふだん自分が何事かに一心不乱にのめり込んでいる姿を人前ではなかなかみせないものだ*1。他方、スポーツ中継の面白さの一つは、画面を通してそうして没入する姿が人前にさらされてしまうところにある。なかでも面白いのは囲碁や将棋の中継だ。ふ…

山本七平『空気の研究』

それからこれも読んだよ。KYなんて下卑た言葉も流行ってるらしいし。その都度状況依存的に正当化されるのが「空気」であり、それに水をさす。でも、この水もいずれは空気になってしまうと。KYってのはこの「水」のことですな。でも、KYなんていわれてしまう…