2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧

滝川一廣「こころ」はどこで壊れるか、「こころ」はだれが壊すのか

前著が面白かったので近所で見つけたこの2冊も読んでみた*1。これも面白かった。とりあえず、一冊目の以下の部分を引用しておく。 「こころ」とは不自由なもので、人間は悩む存在であるけれども、それに対して折り合ってゆければよいわけです。「こころ」自…

鹿野政直『資本主義形成期の秩序意識』

とにかく、読み応えがあった。もちろん分量だけの話ではない。社会主義の登場で話が終わる当たりに時代的なものを感じてしまうところもあるが、なんでこの本を著作集に加えなかったのだろう?あるいは、版元は文庫化しようと考えたりはしないのだろうか? 読…

亀山郁夫と佐藤優

たまたまブックオフで見つけ、そのまま一気に読了。この二人のとりあわせは意外な感じもしたが、ちょっと考えれば別に知りあいでもおかしくないか。いずれにせよすごいとりあわせ。ドストエフスキーをめぐるやりとりをはじめ、いろいろ面白かった。 そして、…

ブッシュを見つめていた眼差し

久々にお昼にみたドキュメンタリーシリーズ。ホワイトハウスに入りこみ大統領ブッシュの姿を追い続けたカメラマンのドキュメンタリー「写真が語るブッシュ政権」を見る。だが、ブッシュその人よりも、途中から撮るようになったというブッシュを見つめる人々…

菊地成孔・大谷能生『M/D』

こんな機会でもなきゃ読み通さないだろうと思って手をつけたこれをなんとか読了する。やっぱり、雲隠れした『カインド・オブ・ブルー』をはじめ、楽曲の分析をもっと読みたいよ。とか、いろいろ注文を付けだしたら、この本、どれくらい長くなったんだろう?…

阿部謹也の世間論

とりあえず、ヨーロッパ中世史の本は昔よく読んだのに、こっちの方はなんとなくいかがわしさが先にたって放置してきたところがある阿部謹也さんの世間論をとりあえず3冊ほど手近にあったもので読んでみる。いかがわしいというのは多分に先入観だったとは思…

牧原憲夫『客分と国民のあいだ』

安丸本の次に読んでみようと思ったのはコレ。こちらも出版時に読んで以来の再訪。自分でこんな文脈を用意して再読することになるとは思ってもみなかった。ちょっと考えてみれば、当たり前なわけだが、とりわけ日本のような後進「国民国家」にあっては、「国…

安丸良夫『日本の近代化と民衆思想』

いくつかの本を読むうちに、改めてこの本を読まずばなるまいということになって再読。やっぱり面白い。いま読むと、この話からM・ウォルツアーのこの本のことを思い浮かべずにはいられない*1。あるいは、この本とからませてみるのも悪くない*2。いずれにせ…

滝川一廣『「こころ」の本質とは何か』

同僚がゼミ生の課題図書に挙げていたのでどんな本だろうと読んでみたら、「そうだそうだ」と納得のいく知見もあり、知らない知見もありで、面白い本だった。そして、統合失調症、自閉症、不登校という一見すると別の現象が、背景として共同世界への参入の困…

「チェンジリング」

毎回、奇跡のように傑作を送り出し続けているクリント・イーストウッド。今回も期待にたがわずと言ってよいだろう。でも、イーストウッドの作品のよさについて語るのはボクにはとても難しい。技巧的なことがよくわからないせいもあるが、彼の作品はとても自…

きだみのる『にっぽん部落』(岩波新書1967)

昨年、必要なときに入手できなかったこの本をいまごろになって読む。これを読むと、これまで調べてきたことが改めて確認できる。たとえば、共同飲食の意味はこの本でも確認できる(80頁)。ただし、これは基本的に1945年前後の東京近郊の村での知見をベースに…

勝俣鎮夫『戦国時代論』

『一揆』と同じ著者による戦国時代論。これまた名著であろう。大変面白く、教えられるところ大。いや、斎藤道三の油売りから一代で戦国大名になったという話はもはや伝説のうえでの話にすぎなくなってしまうのですね。とりあえず、さしあたり知りたかった部…