2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

バーカー『近代自然法をめぐる二つの概念』

本来なら先週までに読んでおくべきであった本を、やっと発掘できたこともあって今日になって読んでいる。ギールケの英訳本によせたアーネスト・バーカーの序文を訳したもの。タイトルはいささか看板にいつわりありかな。自然法の変遷から歴史法学派への流れ…

『発達障害の子どもたち』

高名な著者による啓蒙書。とはいえ、中身は濃い。この手の知識を手に入れる本としてはまずこれという感じではないだろうか?ボクとして印象深かったのは、遺伝的要因ばかりでなく、早い段階で対人関係の基礎をどこまで築けるかがけっこう肝心だという点。迫…

演劇の歴史

いくつか比較的入手しやすいものを読んでみたけれど、図鑑みたいな本だからと敬遠していたこれが、とっかかりとしては一番包括的でよいかもしれない。しかし、これも絶版。18cの市民劇の考え方をレッシングのそれから。 一つは、事件よりも登場人物(キャラ…

ルネサンスの劇場

次のブツが手許に届くつなぎにと思って読みはじめたのだが、いろいろあってその間に読み終えられず、でも一応と思って読了。分厚い本で話が細かくてついていくのがしんどい一方で、いささか訳文が読みにくい。オンデマンドで再刊されてるようですな。この本…

岩田弘

読んでいる暇なんかないことは重々承知だったけれど、岩田弘の本を見かけたのでついつい買ってしまう。ここに書いておけば、リマインダーになって少しは読まねばという気分になるかと思って記す。 資本主義と階級闘争〈1〉―共産主義 (1972年)作者: 岩田弘出…

志の輔落語

立川志の輔の独演会、昼の部。演目は「お血脈」に「江戸の夢」。「お血脈」は地噺だからアレンジしやすいということもあるのかもしれないけれど、相当にデフォルメされていて、最初は新作落語か漫談かと思ったくらい。でも、面白かった。「江戸の夢」は今で…

某国営放送局の見識を疑う

他局のニュース番組は見てないからどう扱ったか知らないが、きっと似たようなものだろう(と思ったら、報道Sのトップはユニクロだった。これはこれで変)。クサナギ君のしたことの結末には別に同情しないけれど(しかし、いささか身に覚えがある話だからな…

フィリス・ハートノル『演劇の歴史』

暇を見ては最近の課題をこなす。まずは、ルネッサンス期のイタリア演劇の記述から。たとえば、映画で言えば、モーガン・フリーマンなんかは、味のある役者だと思いつつも、どんな役を演じてもモーガン・フリーマンがやってるというイメージから抜けきれない…

Amos Garrett

また来たからまた行ってしまった。お酒控えめ(ぐやじい)。今回は、パーシー・メイフィールドのトリビュート・アルバムの発売にあわせての来日ということだったようだ。何度聞いてもこのギターの音色はたまらん。やっぱり「スリープ・ウォーク」はお約束で…

愛のむきだし

しんどいかなと思ったがついていけてしまった怒涛の4時間。園子温の新作。『紀子の食卓』の次はこうくるのか。もしキリスト教の原罪(sin)に相当する罪の意識が現代社会にも存在して(この映画をみながらあると思った)、それを背負って生きていかなければな…

演劇の歴史

今日からは堅気な生活に戻ろうと思って読了。フランスを中心に演劇の歴史を知るには一番お手軽な本なのかしら。18cは商業化も進んでいき、それだけ受け手も多様になっていく時期ということで、やはり転機になっていくという話なわけだけれど、ボクの知り…

吾妻光良 Nagoya Jump Meeting

体調にいささか不安ありだったのだが、前回行けなかった念願の吾妻光良ライブ、どうしてもチケットを不意にしたくないので行ってしまう。でもさすがに、お酒は控えめ。やっぱり楽しい。バッチグー。音楽サイコー、ギター凄い、決してうまいというわけではな…

This is England

仕事で面白くないことがあったので、予定を変更して映画を見に行くことにした。昨今は、土日構わずこういう話が迷い込むからほんとうにやってられない。しかし、今週はさらにいろいろ起こるのだった。 イギリスでどういう文脈でスキンヘッズが登場してくるの…

S・ティドワース『劇場』

実際には、ちょっとしか使わないだろうけれど、読んでおいた方がよい本ってあるものだが、それが300頁を越えるとなるとそれなりに腰も引ける。でも、最近、分厚い本に読み慣れてきたので、なんとかなるかとこの本を読んでみたわけですが、劇場といっても…

古本屋の亭主におそわった音楽:寺尾紗穂

中古CD屋へ行って棚をあさっているうちに、自分の知らない、でも耳にこびりついてはなれない楽曲がかかったりすると、どうしても気になって店員に「コレ何?」って聞いて、そのまま買ってしまうことがときどきあるのだけれど、それを古本屋でやることになる…

柳家小三治独演会

年度の初めのお楽しみが落語になるとは思わなんだ。草臥れて前座の時間に居眠りしつつも、そのあとはちゃんと聞いてました。今回はそれぞれに比較的短めのマクラを振って「馬の田楽」と「転宅」。「転宅」は久々。「馬の田楽」は聞いたことがあるようなない…

安丸良夫『日本ナショナリズム前夜』『一揆・監獄・コスモロジー』

相変わらず安丸先生の本を読んでいます。やっと1冊読み終わったと思ったら、2冊目はすらっといきましたな。 これって徳と利のヴァリエーションでしょう?とかいった部分を読みながら、藤田省三の「安楽への全体主義」って話を思い出した*1。 民衆意識の次…

なぜかRCサクセションを聞いている

なぜか急にRCを聞きたくなり、聞くとなればまず『ラプソディ』かなと。後から完全版が出ていることを知る。失敗した。この辺でメンバーが固まってあの清志郎になるわけで、当時、その姿をテレビで見たときは(なぜか、ライブを中継する番組があって、子ども…

長江に生きる

三峡ダムの建設で大規模な立ち退きが必要なことは分かっているわけで、また『激流中国』なんかを見ていれば、移転問題が公正さを欠いたまま処理されていってもおかしくはないだろうなと思うわけで、しかも、立ち退きを迫られるのが農民だということになれば…

チェチェンへ アレクサンドラの旅

ソクーロフの新作。アレクサンドラを演じているのは、ガリーナ・ヴィシネフスカヤ。旧ソ連の伝説的なオペラ歌手であり、ロストロポーヴィッチの人生の伴侶だ。「チェチェンへ」と題されているけれど、この映画、チェチェンという名辞にこだわる必要はないだ…

ロルナの祈り

また映画ばかり見ていた。タルデンヌ兄弟の新作。彼らの作品は主人公にたいして独特の距離感をおいているように思うのだが、今回はちょっと違う感じがした。以下の引用はパンフレット中のインタビューから。持ち上げられているラストだが、ボクはあれでいい…