この本の最後の部分は公共性論だったことに今頃気づいた。あっと思ったのは、田原嗣郎の議論に添えられた次の指摘。確かにそのとおりだ。
しかしこの事の反面は、当然、「公」の側にも及ぶ。「私」が消極的であるならば、さしも積極的な「公」が一朝「私」と位置づけ直されたとたんに逆に消極化されることも当然ありうるからである。つまり、積極的にみえる「公」も概念としては積極的なわけでは決してない。この不定性は、結局、公・私が(共同体であれ首長であれ、私情であれ)形式化されないで実質的な勢力に癒着してとらえられ、そうしたものの配分・限界づけの力学としてとらえられているということからくる(510頁)。
- 作者: 黒住真
- 出版社/メーカー: ぺりかん社
- 発売日: 2006/02
- メディア: 単行本
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