2009-01-01から1年間の記事一覧

柳家小三治独演会

またもや行ってしまった柳家小三治独演会。前回は、ちょっと調子が悪いのかなと感じさせる高座だったのだが、今回はなんだかとても元気な感じ。マクラは延々1時間以上に及び、もちろん楽しい、今回は一席だけになってしまうかもしれませんなんて言いながら…

マスターソン『青年期境界例の治療』

「見捨てられることによって生じる抑うつ」と「自己愛的-口唇期的に固着した自我構造」から境界例を説明するマスターソンのモデルを概観。あとはカーンバーグなんだけどどうしましょう。 青年期境界例の母親は自分自身が境界例症候群にかかっている。 彼女が…

鈴木茂『境界例VS分裂病』

この本の序章を読むと、木村敏教授、中井久夫助教授時代の名市大精神科の様子がよく伝わってきてとても興味深い。あ、もちろん中身も読みましたよ。境界例についてのいくつかの興味深い記述を抜粋。 まず、境界例の基本線を確認しておくと、 DSM-IIIその他で…

クルーグマン『格差はつくられた』

オバマ大統領が実現しようとしている医療保険改革、いわゆるオバマ・ケアの支持がなかなか得られないということが報道されていた。ボクが見たニュースでは反対派の方が少し多かったし、たしか、賛成43%/反対49%(でも、どこのメディアがどのようにサーヴェ…

斎藤環『母は娘の人生を支配する』

しばらく前に、看護士をしている知人から親子で同じような格好をしてる母娘(しばしばママの方がいけてたりする)の家庭は、問題を抱えていることが多いという話を聞いたことがある。それ以降、母娘親子連れのファッションがやたらと気になるようになってし…

レイチェル・シモンズ『女の子どうしって、ややこしい!』

この本、面白いし、よく分かる。問題の中心は、簡単に言えば、女の子は、男の子と比べて、原則として常に「よい子」でいることを強いられていることにある。たしかに、考えてみると「女らしさ」に結びつく徳目は、ほぼストレートに「よい子」であることにつ…

キェシロフスキと二つの世界

ここのところキェシロフスキの回顧上映をずっとやっていて、時間があるときに見に行っているのだが、今日は『傷跡』と『アマチュア』を見てきた。あらためて何本か見て思ったのだが、キェシロフスキの作品って主人公が二つの世界の狭間にいて、そのいずれか…

燐光群『現代能楽集 イプセン』

四つのイプセンの戯曲を翻案した舞台。これまでの燐光群の舞台とは、せりふ回しにしろ振り付けにしろ、ちょっと違っていた。そして、ノラの話以外はろくに知らないイプセンなのだが、イプセンっていまでもリアルじゃないかと思った。 この舞台を見ていると、…

少年王者館『夢+夜』

さて、これが何作目になるのだろうか?とにかく独特のせりふ回しや振り付けだけでとてもインパクトがあるのでなんだかよくわからなくても、力業で魅せられて、それで十分楽しめてしまうのだが、回を重ねるにつれて細かいところに目が向けられるようになって…

よく覚えておこう

愛知に来てはじめての県知事選に遭遇したとき驚いたことには、再び当選した某県知事は、新聞を読むかぎりでは、県民に向かって声明を出す前に、中京圏の財界に向けて声明を出していた。つまり、この県知事は県民よりも地域の財界の方を向いているのだ*1。 そ…

最近は奥田民生を聴いている

なぜか最近は奥田民生をよく聴いている。ブックオフで250円のCDをかき集めてきたせいなのだが、久々にきくとなかなかいい。これとか『29』とか『30』とか。とくに音がよいことに改めて気づいた。そんなに熱心に聴いてきたわけではないけれど、多分、ボクが…

もう一つビジネス倫理学

手許にもう一冊だけ放置してあったビジネス倫理学の本ということで、これも読んでみるつもりでいて、出先でぼちぼち読んでいたものをやっと読了。多岐にわたる問題が取り上げられていて、個々の論点についてはいろいろ興味深く読めるものがあった。とりわけ…

大澤真幸編『アキハバラ発』

ゼミのテキストとして読み終えて。 編者でもある大澤真幸によれば、、酒鬼薔薇聖斗から宮崎勤事件に遡るまでの「動機不明の犯罪」と比べて、今回の秋葉原事件を「形而上学的深み」(ある種の宗教性)を欠いた「凡庸さ」ばかりが目立つ事件であるという。そう…

サイモン&ガーファンクル

一度でいいから生でポール・サイモンを聞いてみたいなと思っていたら、ガーファンクルとそろってやってきた。ドームでやるのが嫌だったけど、しかも席は売れ残っていた、聞きに行くことにした。でも、正直言って不安だった。二人、とりわけガーファンクルに…

『ヴィジュアル系の時代』

http://d.hatena.ne.jp/Talpidae/20090615/p1 の続き。 ところで、アイドルやロック・ミュージシャンに夢中になる女性ファンの登場については、その積極的意義を指摘する声がある。「けれども、ロックやロックンロールによってはじめて、少女たちが公の場で…

『ポロック 2人だけのアトリエ』

しばらく前に放映された『ポロック』を見る。熱演する主演のエド・ハリスが監督もこなしている。映画のできとしてはいまいちな感じもするが、ジャクソン・ポロックがどんな人物かを描くという点ではかなり面白かった。この映画に、ポロックの父親は出てこな…

個体的所有と人格崇拝

このところ、講義の準備のためにデュルケムがらみのものをいろいろ読んできたのだけれど、たまたま、この平田清明の引用を読み返して思うに*1、平田が個体的所有というときの「個人」って、デュルケムのいう人格崇拝の実現された個人主義の世界のそれと意外…

小中学生にケータイをもたせない

石川県で小中学生にケータイを持たせないという条例ができたという話。いろんな意見が出てきそうですが、素朴に思うに、ケータイをどこまで使わせるかってもともと親(場合によっては学校)のしつけの問題なわけで、多分に限界があるだろうとは思うけれど、…

『カンパニー』

トニー賞にあわせて、数年前に再演されてなんだか部門で賞を受けた作品がテレビで放送されていた。でも、これ、前に同じものが放映されていたような気がするんだけど(なんだかこの放送局、最近使い回しが多い)。もちろん、再映だってかまわないけれど、映…

吾妻光良&The Swinging Boppers

念願かなって、吾妻光良&The Swinging Boppers。血圧「150〜300」じゃないけど、調子サイテーで行って、ライヴが始まったら気分サイコー。くたびれたけれど、楽しかった。この間のギグが悪かったっていうわけじゃないんだけど、やっぱりバックがスウィンギ…

ウルトラミラクルラブストーリー

多分、商業映画第一作目ということになるんだろうけど、前作に続いて横浜聡子ぶっとんでるなー。たしかに、これはウルトラミラクルだ。もっとも、ぶっ飛んでる演技ということでは、松山ケンイチを言上げするべきなのだろうけれど、個人的な思い入れとしては…

小泉恭子『音楽をまとう若者』

さて、今度はポピュラー音楽研究関連文献読書月間ということでいくつか読んでみたけれど(お仕事、お仕事)、ボクには、この本が典型的にそう読めるような、ポピュラー音楽研究というよりもイマドキノ若者の友人関係を考察したものが面白かった。もちろん、…

『日本との出会い』

こんなものを読んでいるばやいではないのだが、そうはいっても心惹かれるし、また面白いのだから仕方がない。それに、最近ガス欠気味だし---。まさにタイトル通り、日本との出会いをドナルド・キーンが綴った本。著名な研究者や知識人の遍歴を振り返った自伝…

「道徳の最高の形態は、自分の家でくつろがないことである」。

もともとわたしのあずかり知らぬ領域の話(についても、これまでずいぶんあれこれ書いておりますが、というかそれしかないわけ)なので外してるかもしれませんが、この先、イランがどうなるかというのはいろんなところでとても大きな意味を持ってくるんじゃ…

やったことは許せないが---

必要が生じてアキバ事件がらみのものを今ごろいくつか読んでいる。これは、「あ、こんなの出てたんだ」という感じで見つけて読んだ一冊。中身についてはあまり言うことがない。もともと、この手の事件を社会問題から説明しても事件そのもにについて語りきる…

忌野清志郎1951-2009

やっぱ、チャボのインタビューが、微笑ましいというか泣ける。これができるのはやはり渋谷陽一だけだったんだろうな。なにせ随分と、清志郎やチャボと渋谷陽一とのやりとりを読んだり、聞いたりしてきたような気がするし。そういえば、たしかチャボに「ギタ…

『ポピュラー音楽へのまなざし』

http://d.hatena.ne.jp/Talpidae/20090623/p1 の続き。この本に収められているアイドル・ファンの分析が面白い。 この点では、辻泉「ファンの快楽」の指摘が興味深い。辻によれば、ジャニーズ系のアイドル・ファンは、まず誰を好きになるかということについ…

マンシェット『愚者が出てくる、城寨が見える』

たまたまブックオフで見かけ、タイトルが気になったので購入。タイトルの出所はランボーの一節をもじったものだそうな。この週末、学術書の類を読む気力がまったく失せてしまっているので、すっごく久々に小説なるもの読んでみたら、これ、かなりスゴイ。 誰…

『リア王』(1971)

先週から近所で、旧ソ連時代のロシア映画特集をやっている。2週で何本もやってしまうので、とうてい全部、いや半分も見ていらいれないのだが、この時期のロシア映画って見応えあるなー。で、今日は『リア王』を見てきたのだが(音楽はショスタコーヴィッチだ…

『ビジネス倫理の論じ方』

今年度の若年労働者問題関連書籍読書月間がそろそろ終了するので(かなり読み残しがでてしまったが)、その最後に、きっとまったく関係のない話ではないに違いないということで、献本していただいたこの本を読んでみることにした(ありがとうございました)…