こんなものを読んでいるばやいではないのだが、そうはいっても心惹かれるし、また面白いのだから仕方がない。それに、最近ガス欠気味だし---。まさにタイトル通り、日本との出会いをドナルド・キーンが綴った本。著名な研究者や知識人の遍歴を振り返った自伝や伝記というのは、それ自体いろいろ教えられるところがあって*1、凡庸な我が身をふりかえるうえでしばしば有用というか、虚しくなるというか、まあ、とにかく面白いことは面白いのですよ。しかし、ここで描かれているのは、思わずあこがれてしまいはするものの、もはやすでに喪われた世界だよなーとも思う。
- 作者: ドナルド・キーン,篠田一士
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1975/06/10
- メディア: 文庫
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*1:最近はどこの大学学部でも、新入生に薦める本みたいなことをやっているが、そのなかにこうした自伝や伝記の類を入れておけばよいのだ。たとえば、ファインマンvsノイマンなんてどう?太鼓叩きとスピード狂。とくにファインマンのそれは、自分がどんな研究分野に進むことになろうとも、掛け値なしに面白いこと請け合い。あらかじめいろいろと知識を身につけていただくのも結構だが、そんな知識を蓄積するのに貢献してきたのがどんな連中で、この連中を突き動かすものが何だったのかを見ておくのも意味があると思う。