マンシェット『愚者が出てくる、城寨が見える』

 たまたまブックオフで見かけ、タイトルが気になったので購入。タイトルの出所はランボーの一節をもじったものだそうな。この週末、学術書の類を読む気力がまったく失せてしまっているので、すっごく久々に小説なるもの読んでみたら、これ、かなりスゴイ。
 誰が善人か悪人かも色分けができないまま、わけもなく人がゴロゴロ死んでいく、そんな話に読み耽っていると、ふと自分の内側でくすぶっている暴力性や狂気の破片があぶりだされ、荒涼とした世界がひろがっていくのを感じる。もちろん、ストーリーの展開も読ませる。まあ、途中で黒幕は予想が着いてしまったけれど。そして、もうこれ小説だけの世界ではないよね。

愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える (光文社古典新訳文庫)

愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える (光文社古典新訳文庫)