東大や芸大で菊地成孔がどんな感じでしゃべってるんだろうというのは前々から気になってたりするわけで、名古屋でトークがあるというので、その一端が聞けるかと出かけてみた。面白かった。
エイゼンシュテインが試みたみたいに映像と音の組み合わせを一般論として考えるのは難しいかもしれないけれど、ファッション・ショーとそこでかかる音楽みたいに限定した局面では組み合わせの規則をある程度考えられそうだ。明らかにファッション・ショーで使える音楽と使えない音楽っていうのはある。しかも、ファッション・ショーでモデルの歩くテンポとバックで流れる音楽のリズムは微妙にずれてるよね。あるいは、ヒップホップでラップとバックトラックのリズムがずれてるよね。こうしたズレに心地よさを感じる感覚がわれわれにはある。ここまでなら自分の目や耳で確認できることだし、それこそ九鬼周造の『いきの構造』みたいでよく分かる話だ。
で、面白かったのは、その先、この心地よさが下方倍音理論で説明できるという話。ドミソみたいな上方倍音とは別に、下方倍音という音列を考えることができて、ブルー・ノートはこの下方倍音に相当するそうな。菊地はこの下方倍音をフロイトの無意識になぞらえていたけれど、そうすると、ジャズやブルーズに特異的なブルー・ノートの心地よさが理論的に説明できてしまうことになる。リズムの話が途中から和音の話になってしまったわけだが、そこには後から質問が入り、リズムの問題も和音の延長の問題として考えることができるというレスポンスがあった。へー。
で、この下方倍音についてちょっと調べてみたのはいいが、面白そうではあるものの、かなり自分にはついていけそうもないのであった。
http://www.critical.ne.jp/~monoe/sakukoto1100.html
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