『愛の予感』

 某所からオススメと聞かされていた作品がやっと名古屋で公開。アタマとケツをのぞけばセリフがいっさいなく、映像も見ようによっては同じことの繰り返し、と至ってシンプル。でも、その差異をはらんでくる繰り返しのリズムが心地よい。そんななかで、女が目玉焼きを作るとき、卵の殻にそそいだ水をフライパンにいれるとこなんて生活感があってリアルだと思った。それに、卵焼きをつくるのも、あんな感じで作るのね、自分でもやってみようかなみたいな感じで(ボクが作ると炒り卵になってしまう)。他方、男の方は、卵かけご飯にするときに、お皿に卵を割らずに、いきなりお茶碗のご飯のうえに卵をわって、黄味をくずしてから醤油をかけるのだ。それに、いつも食事を引き取っていったん席についてから、わざわざご飯とみそ汁をよそいにいくのだが、終いの方では、食事をひきとってそのままご飯とみそ汁をよそって席に着く。最後に男が女の顔を正面から見るというのもいい。映画らしい映画だと思った。