バレエ・リュス

 ディアギレフの死以降のバレエ・リュスの変遷を関係者の話を聞きながら再構成するドキュメンタリーで、ある意味、アメリカにバレエが定着していく過程を追ったものにもなっている。なかにはネイティブ・アメリカンバレリーナが出てきたり、才能がありながらも黒人であるが故にバレー団を去らなければならなかったバレリーナも出てくる。
 なんせ証言者が貫禄たっぷり。たとえば、ディアギレフ・バレエ団の最後の生き残りだったというミューズは(たくさん人がでてきて、しかもその大半がロシア名なので名前を覚えきれない)、バレエ・リュスが二つに分裂してそれぞれが同時にロンドンで公演をぶちあげたときのことを回想しながら「わたしはこれで面白いことになったと思ったわ」なんて言ってのける(その後の映像を見ると実際に二つのバレエ団が切磋琢磨していったことがわかる)。また、その証言にあわせて当時のバレエ・リュスの映像が挿入されるから、こんな感じで踊ってたんだというわけでなかなか見応えがあった。映像を見ていると、いまのダンスよりもなんだか随分とゆっくり軽やかに踊ってますね。
 でも、一番印象に残ったのは、再度バレエ・リュスに呼び戻されたジョージ・バランシンの振付を回想したフレデリックさんの発言。バランシンの演出には役柄というものがなく、自分の肉体をむきだしにして踊らなければならなかったって、バランシンがモダン・バレエに残した足跡がよく分かる発言じゃないかと思った(というほど、ほんとはバレエをよく知りません。スイマセン)*1

*1:バランシンは伝記が訳されてますね。

バランシン伝 (クラシックス・オン・ダンス)

バランシン伝 (クラシックス・オン・ダンス)