住谷一彦『共同体の史的構造論』

 住谷一彦も日本の村落共同体を「同族階層制」「年齢階層制」「世代階層制」に分けて、桜井とよく似た問題設定を確認している。もっとも、だからそれだけ解体しやすいという話になるのだが。

このことは、また多くの場合こうした「年齢階層制」村落が漁村にみられる事態とも関連するが、村落社会のうちで「共同労働」の占める比重が大であり、しかもそれが「年齢階梯制」的に編制されている点と照応する。こうした構造が村落社会の基層をかたたいづくている場合、「身分階層制」はたとえ形成されたとしても、表層として浅く覆っているにすぎなくなり、封建的「共同体」としての構造の内面的強度は、弱化せざるを得ないであろう(374頁)。

共同体の史的構造論―比較経済社会学的試論 (Student edition)

共同体の史的構造論―比較経済社会学的試論 (Student edition)