「第三世界には女はいないのですから」(33頁)

 とある古本屋の棚でこの本が私を呼んでいたのでつい買ってしまう。『テヘランで『ロリータ』を読む』のせいですね*1。最初の「女のすばらしいところ」だけ読んでみたけどこれは当たり。サーラ・スレーリが描く祖母ダーディの姿がどうしても石牟礼ワールドのそれに重なってくる。何と言えばいいだろう?もちろん、孫のようにアメリカに出て行くなんてことは考えられもしない。決してそこから飛翔することのない日常に張り付いたまま生きているにもかかわらず、いやだからこそ日常の事どもにも動じることがない、それがどこか日常を超えたものを感じさせる。そんな「小さき者」の姿が、たとえば、あの「ヒロム兄やん」を思い起こさせたりする。

肉のない日―あるパキスタンの物語

肉のない日―あるパキスタンの物語