プラトン

コイレのプラトンってずいぶん昔読んだことがあったな。まず、メノン、プロタゴラスでは、徳性を教えることができるか、テアイトスで知識とは何かが問われ、トラシュマコスの「正義論」が紹介され、プラトンの理想国家論が展開される。プラトンにとって善き…

「若者」とは誰か

と、そこは「」いれがなされているとはいえ、また、近年、若者について語られる話法がきちんと整理されているとはいわ、若者とは誰かについては書かれていないんだな。そうはいっても、便利な本。 「若者」とは誰か【増補新版】: アイデンティティの30年 (河…

社会問題の構築

今読み返すと分かったようなわからないような本だな。課題は「社会問題」をどう定義するか。社会解体を問題にする機能的原因論アプローチ。どうすれば事象がシステム要件に抵触することが説明できるか。社会解体論は実際なにをやっていたのか?規範的アプロ…

アウトサイダーズ

逸脱は社会によって生み出される。「逸脱者」であることと「逸脱行為」をすることは必要十分な関係にない。逸脱してもそう扱われないこともあれば、逸脱行為なしに逸脱者あつかいされることもある。そもそも「容疑者」というのはそのような概念である。人々…

シンボリック相互作用論の世界

19章もある。どれも簡単すぎてアタマに入らない。とりわけ批判的な議論は論点を詰め切る余裕がないんじゃないかな。 シンボリック相互作用論の世界 作者: 船津衛,宝月誠 出版社/メーカー: 恒星社厚生閣 発売日: 1995/09 メディア: 単行本 クリック: 2回 この…

実験室としての都市

というわけで、なんか気になるのでパークも読んでみた。一部、下線が引いてあり、購入時に読んでいるらしいのだが、ってか院試の時もシカゴ学派のお勉強はしているはずなのにまったくアタマに入っていないことを思い知らされている。しかし、いまやよい値が…

産業化論再考

未発表草稿を書籍化したもの。内容的には途中で結論が見えてしまったものをたらたら読んでいくので退屈してしまうのだが、執筆当時発表されていれば、ここで展開している議論の含意も、これだけ丁寧に書かなければならないわけも理解できる。読みながら思い…

鏡と仮面

まあ、ブルーマーの議論の発展系として読める。よく整理された本だとは思うんだが、この楽しくなさは何なのだろう?名は体を表す。何らかの類として同定されることで位置づけを受け、一定の期待が伴う。この名付けや同定は持続的な過程である。このときの言…

シンボリック相互作用論

これでいくとすべての社会変容は、自己あるいはそれを伴う解釈に還元されるというすごい話になってしまう。理屈としてはよく考えられるけど、具体的な相互作用が創発的なものでありえ、マクロな社会変容につながるというのがイメージできない。ここ自己を媒…

笑点

円楽司会時代が黄金期なんですね。だったら、どうでもいいや。こっちは、ご年配の方から談志の頃がいかに面白かったかをうかがう度にどんなものだったかと思いをはせるのだが、そんな片鱗もない。暇をみて適当に読みます。ほんとに当時の映像って残ってない…

志ん朝と上方

上方芸人に志ん朝の思い出を聞くというのはとてもよい企画だと思ったけれど中身が薄いな。実際、本も厚さのわりには中身がない。しかも、聞き取りは4人からだけだし、そのなかに米朝はいない。メインが志ん朝の思い出を語るということになると話題が限定され…

この落語家に訊け!

この人の名前どこかで見たことあるなと思ったらバーンの編集長だったのね。多少は好みに違いがあるみたいだけど、私も追いかけてる噺家のインタビューが読めるというのは魅力的だ。相当、通っているようでどこそこでのいついつの話といったところまで出て来…

柳家三三・春風亭一之輔二人会

前座で柳家小かじ「出来心」、三三「加賀の千代」、一之輔 「鰻の幇間」で仲入り。一之輔「堀の内」、三三 「唐茄子屋政談」。個人的にいちばん面白かったのは、一之輔「堀の内」。このシンプルな話、どう演じるかというのは見物で、短い中に埋め込んだ一之…

シカゴ学派の社会学

シカゴ学派の全体像を把握するにはとても便利な本。こうやってみるとシカゴ学派の研究って基本的に逸脱研究なんだな。一方で、気になったのはシカゴ学派という括りは同時代的にはどうだったのかしら。この名称自体、後からできたものだし、関係者はキリスト…

ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン

まさに、原題にあるようにThe Rise of James Brown。関係者へのインタビューはもちろん、使われている映像がスゴイ。初期の「プリーズ・プリーズ・プリーズ」や「エド・サリヴァン・ショー」の映像。とにかく、ライヴすげぇー。「選挙権を求める大行進」の到…

いしぶみ

相変わらず予習をしていかないので、これが是枝さんによる広島を扱った作品だと言うことしか知らない。ヒロシマを扱う作品というのは難しい。どうすれば、ヒロシマを扱ったことになるのかよくわからないからだ。この映画、基本的には綾瀬はるかの朗読で始ま…

生活保障

教科書的に概論として読むには便利な本だけど、こういう羅列的な書き方をされると話がアタマに入って来にくい。 相対的貧困率の高さ。雇用と社会保障から排除される非正規雇用、若年者、女性、中層企業等。家庭やコミュニティの求心力の喪失。生活保障・雇用…

アフリカ ブラジル

おなじみジョルジュ・ベンの名作、と言いながらアルバムとしてははじめて聴く。いや、すごいですよ。歌好し曲好し。一曲一曲違った味わいを出して捨て曲がない。でも、いずれにもソウルがありアフリカを感じる。まだまだ、ラテンは初心者いろいろ楽しめそう…

不況は人災です

犯罪、女の仕事、男の自殺率、離婚率。不況下ではろくなことないよ。ほんとに、インフレ回避は金持ち優遇措置になる。利子以上に実質賃金が下がる。円高の機能は消費税に似ている。つまり、雇用の振り替えに寄与する。景気回復期は一時バブル気味になる。小…

The Who :Thirty Years Of Maximum R & B

私の最近の愛聴版はこれである。アマゾンの評を見てると音が悪いとか、大半のボートラはオリジナル版で手に入るとか評価は低い。しかし、この曲の並べ方、メンバーのしゃべりも交えたつなぎ方、ヴァージョンの選び方、リミックスの具合を鑑みると、むしろ、…

ベーシックインカムは究極の社会保障か

玉石混淆。BI批判は、あんまりBIに関係のないというか、現行の社会保障の不備をもっぱら問題としている。その中で目立つのは後藤道夫がニーズに基づく現物給付とニーズに依存しない現金給付(たとえば介護保険)の区別。しかし、BIを導入することは必ずしも…

聞き書 宮沢喜一回顧録

過去かつての大物政治家と一緒に仕事をした宮沢が彼らをどうみていたのか、講和・安保とプラザ合意をどうみていたのか等々。面白い。中村隆英先生が加わっているのもよい。先生の歴史本も折をみて読まねば。やっぱりアタマいいな。オヤジのサポートもあった…

この経済政策が民主主義を救う

欧米では金融緩和、保守が緊縮派。新古典派の考えとは違って、日本では賃金が下がっても不景気から回復しなかった。流動性選好(ケインズ)。安倍政権は選挙の日程を選んで、10%の増税を延期するために、8%増税後の景気対策を十分にしてこなかった。消費…

Noism 劇的舞踊vol.3『ラ・バヤデール−幻の国』

前に見たのが見世物小屋シリーズの作品で今度は劇的舞踏シリーズというわけですね。で、バレエの世界でいろんな演出で取りあげられてるようだけど見たことがない『ラ・バヤデール』を、しかも大ホールで上演する。というわけで、しばらくご無沙汰だったからN…

「健康格差社会」を生き抜く

社会階層に応じて健康格差があるというのは、直観的には分かる気がするけど(たとえば、日本人の体系の変化を考えてみる)、何がどれほどどう相関するかというのはなかなか想像がつききにく、いささか安易な説明に走っていると感じるところもあるけど、かな…

若者が《社会的弱者》に転落する

出たときは衝撃的だったのにいま読むと当たり前すぎるというか、旧聞に属するような話になってるな。当たり前か。 1,学校教育制度の拡充と青年期の登場。モラトリアム期間の延長。独身貴族・パラサイトシングル、親との同居。離家の遅れ:フリーターと未婚…

日本会議の研究

なんとか投票前に読了。だんだんとその存在が目立つようになってきた日本会議、いまや内閣のほぼ全員が日本会議やその類縁組織の関係者だ。そして、この日本会議がもとは「生長の家」に端を発する宗教連合であり、いまや日本遺族会は先細り、自民党最大の支…

英国ロイヤルバレエ団『ロミオとジュリエット』

マクミランの振付、で是非いちど見たいと思っていた英国ロイヤルバレエ団である。でも、『ロミオとジュリエット』かと一瞬おもってしまい、プティパの『ジゼル』も気になるけど、『ジゼル』は『ロミオとジュリエット』の応用編みたいなものだしと、やはり基…

働くということ

久々に読み返してみると、よい本だとは思う一方で話が飛ぶところと繰り返しが気になるな。話しおろしかしら。むかしむかし、日本の労働の多様さ、勤勉の多様さ、不平等の多様さ。さて、いまは。 1,ILOのノーベル平和賞受賞。ところが、労働と雇用に関する…

金融が乗っ取る世界経済

ドーアの本いくつか読み返してみたら、重複も多く冗長だった。そういう意味ではとっつきにくいが、この本が一番おすすめかもしれない。ピケティの先触れとしても。1,英米モデルの勝利。経済の金融化。米国おける金融業の全利益所得、GDPにおける割合の増…