この落語家に訊け!

 この人の名前どこかで見たことあるなと思ったらバーンの編集長だったのね。多少は好みに違いがあるみたいだけど、私も追いかけてる噺家のインタビューが読めるというのは魅力的だ。相当、通っているようでどこそこでのいついつの話といったところまで出て来るからスゴイ。また、当時、二つ目だった一之輔をを評価してる。これも大当たりですね。これだけ立ち入った話を聞けるようになるには相当の寄席通いをしなくちゃ無理だろうな。やっぱり東京はいいな。こっちじゃそんなに機会がない。
 ただ、読んでいて気になるのは、この人、やたらと「本寸法」に異を唱え(はじめて聞いた言葉だが、たしかにスクエアな演芸評論家というのはいた。でも、当時、新作ってあんまり面白くなかった)、各人各様誰それ落語とか自分の言葉でという形に話を持って行き、客にとって面白いか、受けるかって話になるのが基本。でも、それぞれの噺家から得たい面白さというのは違うわけで、しかも、噺家自身も変わって行く。客もいろいろだし好みも変わって行く。一方で、古典が嫌いな人って客にも噺家にもあんまりいないし(白鳥さんぐらい?)、師匠や他の噺家もいるわけで、自分が作っていくものと継承していくもの、そして、継承できないものって明らかにある(もう昔のような語り口で話せる噺家が戻ってくることは決してない)。それを噺家一人で完結してしまうようにまとめていくのは違和感があるな。
 

この落語家に訊け! いま、噺家が語る新しい落語のかたち

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