2016-01-01から1年間の記事一覧

Noism 劇的舞踊vol.3『ラ・バヤデール−幻の国』

前に見たのが見世物小屋シリーズの作品で今度は劇的舞踏シリーズというわけですね。で、バレエの世界でいろんな演出で取りあげられてるようだけど見たことがない『ラ・バヤデール』を、しかも大ホールで上演する。というわけで、しばらくご無沙汰だったからN…

「健康格差社会」を生き抜く

社会階層に応じて健康格差があるというのは、直観的には分かる気がするけど(たとえば、日本人の体系の変化を考えてみる)、何がどれほどどう相関するかというのはなかなか想像がつききにく、いささか安易な説明に走っていると感じるところもあるけど、かな…

若者が《社会的弱者》に転落する

出たときは衝撃的だったのにいま読むと当たり前すぎるというか、旧聞に属するような話になってるな。当たり前か。 1,学校教育制度の拡充と青年期の登場。モラトリアム期間の延長。独身貴族・パラサイトシングル、親との同居。離家の遅れ:フリーターと未婚…

日本会議の研究

なんとか投票前に読了。だんだんとその存在が目立つようになってきた日本会議、いまや内閣のほぼ全員が日本会議やその類縁組織の関係者だ。そして、この日本会議がもとは「生長の家」に端を発する宗教連合であり、いまや日本遺族会は先細り、自民党最大の支…

英国ロイヤルバレエ団『ロミオとジュリエット』

マクミランの振付、で是非いちど見たいと思っていた英国ロイヤルバレエ団である。でも、『ロミオとジュリエット』かと一瞬おもってしまい、プティパの『ジゼル』も気になるけど、『ジゼル』は『ロミオとジュリエット』の応用編みたいなものだしと、やはり基…

働くということ

久々に読み返してみると、よい本だとは思う一方で話が飛ぶところと繰り返しが気になるな。話しおろしかしら。むかしむかし、日本の労働の多様さ、勤勉の多様さ、不平等の多様さ。さて、いまは。 1,ILOのノーベル平和賞受賞。ところが、労働と雇用に関する…

金融が乗っ取る世界経済

ドーアの本いくつか読み返してみたら、重複も多く冗長だった。そういう意味ではとっつきにくいが、この本が一番おすすめかもしれない。ピケティの先触れとしても。1,英米モデルの勝利。経済の金融化。米国おける金融業の全利益所得、GDPにおける割合の増…

ベイシック・インカム

ベイシック・インカムといえばライフスタイルの多様化に伴う新しい生活給の保障の在り方、というイメージがもっぱらだった私には、無駄な部分も多かったけど、面白い本だった。これでいくと、控除から現金給付へ移行するのとBIへの移行は相対的な問題にすぎ…

戦後史の正体

今頃になって話題のこの本を読む。まあ、いくらも指摘されていることだろうけれど、事実と主観的判断がないまぜになっているのでそれを腑分けして読まないと持って行かれてしまう。とりわけ、近年の経済関係についての記述は自分が見聞きしてきたことでもあ…

地獄の黙示録

さて、前回見たのはいつだか思い出せないけれど、追加映像を含んだ完全版とかいうもの。今回は、劇場公開版のデジタルリマスターということなのだが、私が知っている最後のあのシーンはなかった。二つのヴァージョンがあったのですね。こっちならエンドクレ…

「つながり格差」が学力格差を生む

1,高度経済成長期は都市部と農村部という地域類型別学力格差よりも都道府県別の学力格差が大きかった。「都鄙格差」。が、以降この差は同和地区をのぞけばかなりならされた。学力低下は学力格差の拡大に由来する。文化階層や基本的生活習慣のちがい。業績…

SIGHT

4月に出ていたのか不定期刊行にしてから、かえってタイミングを読まなきゃいけなくなって、アクチュアルさを失ってるんじゃないか。まあたしかに安保法制は4月からの施行だけど、その間に国会の開催要求を黙殺してるし、4月以降でも安保法制の廃止法案の審議…

サンセット・ストリップ ロックンロールの生誕地

『サンセット大通り』からトロカデロ(the Trocadero)といった有名なナイトクラヴ。マフィア。サミー・デイヴィスjr. さらに、ウィスキーアゴーゴー(The Whisky a Go Go)、ロキシー、レインボーといった有名なライヴ・ハウス。ゼッペリンの悪ふざけしたおと…

ひそひそ星

どちらかと言えばストリー・テラーだと思っていた園子温が、もっぱらモノクロでカメラを固定して、こんなに洗練されて映像を見せてくれるなんて想像で来たるだろうか?というのは、いささか大げさで、前作にもそうして要素は垣間見られたようにも思えるし、…

Rockin' In The Free World

スポットライト 世紀のスクープ

信仰、良心、正義と罪というのが背中合わせになっているのだな。わりと直後にボストンに行っているのにこの話ぜんぜん知らなかった。こういう映画がまだ米国で作られて高い評価をえるのはいいな。

アーサー・フォーゲル〜ショービズ界の帝王〜

80年代はしばしばスタジアム・ロックの時代と位置づけられる。で、ときどきお世話になるけど、本来、ドームのコンサートは好きじゃない。たいてい音が悪いし、ミュージシャンも豆粒のようで、その代わりにいろいろショーアップしたセットを楽しむことにな…

レッキング・クルー〜伝説のミュージシャンたち

ビートルズが出てくるまでの60年代アメリカン・ポップスは完全な分業体制ができあがっていて、シンガー、ソングライター、セッション・ミュージシャンに分かれていた。ロックン・ロールの登場で、それまでジャズのバックをやっていたセッション・ミュージシ…

ザ・デクラインIII

この三部作のオリジナルタイトルは、The Decline of Western Civilizationである。一作目は、米国のパンクと言えば、ニューヨークしかアタマになかった私に、LAのパンクシーンがどんなものかを教えてくれるドキュメンタリーだった。ぐっとアート性は低くなる…

風の波紋

東日本大震災とときをあわせて新潟から長野にかけて地震が起きたのだが、あまり、話題にならなかった。この映画の舞台とはいささかずれているがお隣ではある十日町にわたしはちょっとばかり縁があり、原発のこととあわせて、ほとんど流れて来ないこっちはど…

ザ・デクライン:ザ・メタルイヤーズ。

80年代に後半に化粧をした美形をならべてバカ売れしたLAメタルというのがあったけど、メタルにしてはポップな音楽性もセックスばかり扱った歌詞にもまったく興味を持てなかった。ま、もともとメタルって基本的にはあまり聞かないのでよく知らないのです。…

さざなみ

筋書きはほとんどわかってるのに面白くみることができてしまう。もうじき45年を迎えようとする老夫婦。記念のパーティが間近なのだが、その直前に、二人が出会う前の旦那の恋人で、スイスの山で遭難死した女性の死体が氷河のなかから見つかったという知ら…

独立国家の作り方

やっと読んだ。前半のモバイル・ハウスや個人が「公園」を作ってしまうといった、彼が観察して見つけていったものについてのお話はとても面白い。ま、他の本にも書いてるのだろうけれど、でも、そこから考えていく彼の発想さらには理念的なものになると面白…

山河ノスタルジア

オフィス北野とクレジットされていきなり踊り始めるから、これは『座頭市』をなぞってるのかと思いきや、われわれにとっちゃどうってことはないこにペット・ショップ・ボーイズの楽曲で最後に泣かされてしまうのだからこのシーンはバカにできない。 最初は、…

アイヒマン・ショー

アイヒマン裁判の映像が「完全」に残っているわけだけど、そういえば、それはどうしてかと言えば、まさに「アイヒマン・ショー」が行われたからですね。だから、もちろん、そこには金も絡んでいる。もちろん、だから、映像がどうということではなく、撮るま…

ガロア

というと、昔、読んでインフェルトの本を思い出すのだが、いまだに群論の発想はなんとなく分かっても詳細はよくわからない。の詳細な伝記としては面白かった。ガロア―天才数学者の生涯 (中公新書)作者: 加藤文元出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2010/1…

断食芸人

もちろん、原作はカフカで「掟の門」や「審判」からの引用もありますが、ここでは断食芸人は空虚な中心として、天皇に類比されてしまいますな。くだらないな話だなと思いながら見つつ、そうこれはくだらない話なのですよ。燐光群の役者さん他がでていました…

牡蠣工場

船に出るのは男ですが、牡蠣の殻向きは昔六つやって嫌になったことがある。これはもっぱら女性の仕事なんですね。そして、牡蠣工場の後つぎはというと、息子ではなく、三陸から同じ仕事を求めてきた人だったり、中国から出稼ぎにやってきたり、その他ちらちら…

砂糖のあまくない話

「スーパー・サイズ・ミー」に続くお馬鹿な映画。でも、広く見られるためならこういうのも仕方がないかな。脂質だって、炭水化物だって、糖質だって腹の中に入れば似たようなもんじゃないかという思いきやそうじゃないという話なんだな。やはり、糖分の過剰…

就活原論

あまり、期待せずに読んだら毎度の話でもあるけれど、なかなか面白かった。学生は読んどいて悪くないと思う。たあだ「ひとかどの人物」になるというのはな〜。昔ながらの話でいえば、一通り仕事ができるようになってようやく「ひとかどの人物」になれるかど…