『スティグマ』

 で、その『スティグマ』。この議論のネタ元はおそらくはジンメルのよそ者論に由来する。ただ、ゴッフマンの場合は、個人に帰属される社会的アイデンティティの食い違いからスティグマを説明するということで、ジンメルでは認識論的だった問題設定が相互行為上の問題に組み替えられている。それはよいのだが、スティグマに適用されるカテゴリーというのは、集団的なもので、帰属される期待からして通常の役割カテゴリーとは違ったふるまいをするように思われるのだが、そのあたりは付随的に扱われているようで、もう一つ主題化されてよいことが主題化されていないような気が---。

スティグマの社会学―烙印を押されたアイデンティティ

スティグマの社会学―烙印を押されたアイデンティティ