「そのときにSIGHTがはじめて、政局に縛られない、新しい思想と知恵を語る雑誌になるんじゃないでしょうか。政局がおもしろいっていうのは、国民にとって不幸なことですよ」

 と、発言している藤原帰一氏に激しく同感。本号も前号に続いて特集が面白くない。有り体にいって、いつまでも政局がらみの話ばかりしてるからだと思う。以前「小沢一郎を卒業します」って特集を組んだのに、総裁選後の政界再編を占うこの特集は、結局のところ、小沢一郎圏内に収まっているのではないだろうか?
 政策を強調するみんなの党は、結局のところ、政局がらみでしか出番がなく、前号に続いてご登場の江田憲司氏は政策よりも政局ことばかり語っている。そのみんなの党がお好きな田中秀征氏はどこまでいっても政局より先のことを語る気配はない。
 でも、自民党民主党も似たようなものなら、呉越同舟でやってこれた過去の自民党同様、政界再編なんて起こらないんじゃない?総裁選であれ今回の補選であれ、選挙の話がからんでくるとぶれる政治家はいくらもいるということがあらためてよくわかって、とても情けない気分になるわけですが、いつまでもそんな政治家の利権争いにつきあわされるのは勘弁して欲しいよね。
 有権者には、政界再編とは結局のところ手段にすぎず、それよりも期待すべきこと、求めるべきことがあるはずなのに、残念ながら、ここのところこの雑誌にはそれを考えようという発想が完全に欠落している。民主党政権が成立して以降、ずっと問題だったのは、結局、政権をとった民主党が何をめざしているのかよく分からない。そして、それは首相がどう変わっても同じらしいということなのに。これってほんとにいろんな知恵が必要だと思うけど、政局よりもその先のことを考えておいた方がよくない?


SIGHT (サイト) 2010年 11月号 [雑誌]

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