なぜか、海賊

 某国営放送ソマリア沖の海賊を扱ったドキュメンタリーを見る。この海賊って一体何者なんだという疑問が前々からあったわけだが、この作品には当の海賊(自称)も出てきて、海賊を始めるようになったのは、軍艦に護衛された外国の漁船が沖合で漁をやるようになって、自分たちが漁をできなくなったからだと主張する。また、人権擁護家みたいな人も出てきて海賊のことを擁護したり、船の護衛でソマリア沖にやってきている軍艦の乗務員が海賊に同情的な言葉を口にしたりする。それに、ソマリアって政治的に不安定な国でもある。
 一方で、欧米から派遣される護衛艦は、現行犯でなければ海賊を逮捕しないし、金を出しても、裁判はケニアで行われることになっており、海賊が収監されることはほとんどないらしい。他方で、保険とか警備会社とか海賊産業が欧米に生まれつつある。護衛艦の派遣だって金がかかる。ここではとても奇妙なことが起こっているように思われるのだが、それが政治的な議論になることはあるのだろうか?少なくとも日本ではありませんね。考えなきゃいけないのは、海賊退治よりも、海賊をせざるをえない人たちが生まれてくるようなソマリアの置かれている状況でしょう。