2015-01-01から1年間の記事一覧

NOヘイト! 出版の製造者責任を考える

ソウルの大書店である教保文庫に行っても、反日的なヘイト本のコーナーが平積みになっているようなことはないと。書店員でもやっぱり嫌だと思っている人はいるのですね。そして、出版社の「製造者責任」。NOヘイト! 出版の製造者責任を考える作者: 加藤直樹,…

国防政策が生んだ沖縄基地マフィア

この手の本、どこまで真に受けてもいいのかという話はあるけれど、まあ当然ながら基地がらみのお金をめぐって暗躍する人たちがいるわけですね。つまり、利権がからんでる。たとえば、普天間飛行場の辺野古移設について、名護市がももっと沖合に出せと要求し…

お盆の弟

本日夜は『お盆の弟』。ある意味、男のアラフォーを扱ったという意味では「化けものの子」に通じるものもあるかな。まあ、この設定ずるいとは思う。というのも父母はなくなっており、兄は仕事をしながらも癌を克服して最後は結婚。脚本を書く親友はなんだか…

菊地成孔

菊地成孔ソロらいぶ。他にユニットがあるなかでなぜこれが菊地成行ソロらいぶなんだろうという疑問は抜けない。でも、他ではこんなことやらないから、これはこれでたのしいよ。モノンクルのヴォーカルの彼女に、OMSB、ジュマが入る。しかし、その前にリズム…

それでもボクは会議で戦う

とても「面白い」本です。絶望的な気分で書いてますが。検察ならびに警察は冤罪事件についてまったく反省する気がなかったんですね。取り調べの可視化についても、従来の取り調べに支障がでるという態度で望んでいて、つまり、自分たちが問題を抱えていると…

化けものの子

今夜は『化けものの子』を見てきた。見ながらアタマに思い浮かんできたのは一連の通り魔殺人事件のことだった。場所も渋谷のど真ん中です。ある意味、われわれは化けものの子なんだろうな。それとも、私ぐらいになると化けものかな。なんせ新人類と呼ばれた…

タモリ論

まあ、タモリ論というより「いいとも論」だとは思いますが、自分も意外といいとものエピソードを覚えていることにおどろきました。個人的にはいいともの前のタモリが懐かしい、という人はたくさんいると思いますが。タモリ論 (新潮新書)作者: 樋口毅宏出版社…

近代政治哲学

読み止しだったヤツを読了。冒頭にジャン・ボダンを持ってきたのは面白いなと思ったけど、参考にしている文献が数限られてくるのがよく分かる内容で、人選も今ひとつどういうポイントになっているのか分からない。ホッブスとスピノザの比較もホッブス理解で…

噺家渡世

先だって亡くなった入船亭扇橋師匠の本。ご本人の人柄や芸風がしのばれます。【バーゲンブック】 噺家渡世作者: 入船亭扇橋出版社/メーカー: うなぎ書房発売日: 2007/07/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る高座55周年 特撰 入船亭扇橋アーティス…

立川談春三十周年記念落語会『もとのその一』−THE FINAL− 追加公演

この口演、いったい何回つきあったんだか分からないけど、一体最後はどうなるのか気になったので行ってみた。今回はふつうに前座をたてて、開口一番は春風亭正太郎の「言助魚」。で、前半の二席は「たがや」に「小猿七之助」、いずれもマクラは軽く振るだけ…

西洋政治思想史

藤原先生のアダム・スミスはもっぱら、クロプシーの著作(元本1977)を参照しつつ、アリストテレスとの対比で読み解かれていくんだな。これだけでよいのかしら。Polity and Economy: An Interpretation of the Principles of Adam Smith (International Schol…

やくたたず

白黒のたんたんとした映像でエピソードは単純なんだけど見せられるな。面白かった。

社会的な身体

ふつうにメディア論の本でお勉強になります。「人々はコミュニケーションへの欲望を持つがゆえに、身体を拡張し、その形式を組み替えてきた。コミュニケーションは常に「欲望的(物語的・意味的)」であると同時に「欲求的(ゲーム的)」なものとして重ね描…

古謝美佐子

何年ぶりかしら、古謝美佐子さんのコンサート。また、あの声が聞けるのかと思うだけで楽しみだ。でも、あいにくのお天気。どう考えてもこれは涙雨だ。観客は子どもからお年寄りまでやはり沖縄からこちらへ来ている方が多いんだろうな。そして、古謝さんの声…

グローリー 明日への行進

米南部サウスカロライナ州チャールストンで上院議員を含む9人が殺された黒人教会銃撃事件の葬儀でのオバマ大統領のスピーチというか「アメイジング・グレイス」を聞いてこの映画を見たくなった。映画としても悪くないし、内容的にも見る価値があると思う。こ…

新しい産業社会

いや、とても勉強になり、面白い本です。日本型雇用システムにおいては、メンバーシップの維持に最重要点が置かれている。女性についてはフルメンバーシップが与えられず、非正規雇用は外部労働市場にさらされている。三六協定による男性社員の過重労働。そ…

桂米朝

後半の豊田善敬、戸田学、和田尚久といった方々の論考も読み応えがあります。山内志郎先生まで書いてる。私にとって、米朝師匠というのはまず上方落語のとっかかりになる人でした。そういう意味では次に枝雀さんが来ますが、とにかく、その端正な語り口がと…

桂米朝

やはり芸人さんの思いで話は面白いですね。ユリイカ 2015年6月号 特集=桂 米朝作者: 月亭可朝,上岡龍太郎,桂ざこば,桂米團治出版社/メーカー: 青土社発売日: 2015/05/27メディア: ムックこの商品を含むブログ (3件) を見る落語と私 (文春文庫)作者: 桂米朝出…

志の輔らくご

前座が「つる」、二つ目がはしょった「錦明竹」。二つ続けると前座と二つ目で語り口のリズムが違うのがはっきりするな。でも、この二つ目の志のぽんさん、声の通りが悪いから、ホールでやるにはもうちょっと工夫が必要かなと。 で、志の輔は「猿後家」と「徂…

スライ・ストーン

必須だと思って見てきた。この手のドキュメンタリーって大抵つまらないのが常で、それは覚悟していたのだが、これはつまらないを越えたひどい代物。見ながら怒りがこみ上げてきた。こんな興味本位みたいな映像見せて何がしたいんだ!しかも、終わりはスライ…

近代政治原理成立序説

やはりこの本は基本中の基本ですね。近代政治原理成立史序説 (1971年)作者: 福田歓一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1971/11/21メディア: 単行本この商品を含むブログを見る福田歓一著作集〈第2巻〉近代政治原理成立史序説作者: 福田歓一出版社/メーカー:…

立川談春独演会

仕事で遅れていったので残念ながら米朝師匠の思い出を聞くことができなかったけど、それをマクラにやったのが「山号寺号」に「巌流島」。で、「井戸の茶碗」。多分、2回目だと思うけど、談春の場合屑屋の組合でというような話は飛ばしてしまうし、もともとは…

エレファント・ソング

新作上映にあたってグザビエ・ドラン作品の回顧上映があり「マイ・マザー」をはじめいくつかの作品を見直す機会があり、一方いくつかを見逃したのだけれど、見直して、あら、「マイ・マザー」ってグザビエ・ドランの作品だったのと今さら気づかされる一方、…

あん

ちとストーリーべただし、希林さんの演技はこれもちとオーヴァー・アクションではないかと思うのだが、最近ではいちばん河瀬直美ワールドを堪能させていただいた気がします。 ハンセン病と戦後民主主義―なぜ隔離は強化されたのか作者: 藤野豊出版社/メーカー…

南原繁

第一回「占領地域に関する全米教育会議」(1949)に「全面講和」と日本の「永世中立」をとなえて、吉田茂から「曲学阿世」の徒と非難された南原繁のことが、時節柄、思い出されるのでこの伝記を読んでみた。南原は貴族院での「憲法草案要綱」の審議にあたっ…

オーネット・コールマン

年齢からすればなにも不思議はないというか、大往生と言うべきなのだろうけど、とてもショックだ。オーネットがジャズに何をもたらしたのかについて豊かに語れる人はいくらもいるだろう。そもそも、オーネットを聞いてもこれのどこがフリー・ジャズなのだと…

憲法

の教科書の二冊目。樋口本を読了。樋口先生は、「実定法秩序を前提として、憲法擁護と標榜して、それ自体としては合法として成立している実定法上の義務を拒否する抵抗行為について、抵抗権を想定することは可能である」(94頁)と、ある種の抵抗権を認めて…

サンドラの週末

タルデンヌ兄弟の新作はある意味では下手なストーリー。一人の同僚を解雇するのと1000ユーロのボーナスをもらうのはどっちがよいか。解雇されると死活問題になる女性は旦那の支えを受けつつ、同僚にボーナスを諦めてくれと説得してまわる。これが、どん…

平和憲法の深層

まず、明治憲法と日本憲法は外形的にはよく似ているとということ。極東委員会を意識してGHQは憲法草案要綱の成立を急いだが、これは天皇を東京裁判から守るためであり、この憲法改正にあたっては勅語もでている。「戦争の放棄」条項に「交際平和を誠実に…

資本論入門

マルクス自身が加筆訂正したという『資本論第一巻』の解説本。たしかに読みやすい。でも、これを読んでいると、初期マルクスと『資本論』のマルクスの断絶とかよくわからなくなってしまう。どうやったら、マルクスは労働価値説にたっていないことになるのだ…