桂米朝

 後半の豊田善敬、戸田学、和田尚久といった方々の論考も読み応えがあります。山内志郎先生まで書いてる。私にとって、米朝師匠というのはまず上方落語のとっかかりになる人でした。そういう意味では次に枝雀さんが来ますが、とにかく、その端正な語り口がとても好きでした。そのうち、聞き慣れてくると、先代の松鶴師匠の方が好きになりました。でも、米朝師匠が嫌いになったわけでもありません。ただ、私はお二方をかなり違ったものとして楽しんでおりました。そして、近年の噺家を聞き、あわせて米朝師匠の噺を聞き返すと、しばしばその影響力の大きさに気づかされます。いつまでも、米朝師匠の残したものを私は味わって生きることでしょう。また、そうあることを願います。
 

上方落語 桂米朝コレクション〈2〉奇想天外 (ちくま文庫)

上方落語 桂米朝コレクション〈2〉奇想天外 (ちくま文庫)

随筆 上方落語の四天王――松鶴・米朝・文枝・春団治

随筆 上方落語の四天王――松鶴・米朝・文枝・春団治