志の輔らくご

 前座が「つる」、二つ目がはしょった「錦明竹」。二つ続けると前座と二つ目で語り口のリズムが違うのがはっきりするな。でも、この二つ目の志のぽんさん、声の通りが悪いから、ホールでやるにはもうちょっと工夫が必要かなと。
 で、志の輔は「猿後家」と「徂徠豆腐」。どちらも珍しい話。「猿後家」は生では初めて聞く噺。さして面白い話とも思えないのだが、志の輔が話すと聞かされてしまうから不思議だ。で、中入り後の「徂徠豆腐」。私は不明にもこの噺を知らなかった。もともとは上方の噺だったようですね。こちらも話の筋が見えるとはいえ、やはり聞かされてしまった感がある。
 もっとも、荻生徂徠を持ち出すときに、前置きに忠臣蔵からあれこれとき始めると、本人はわかりやすく丁寧にしゃべってるつもりだろうけど、ま、それなりに笑えつつも話の落ち着きどころがあらかじめ分かってしまっているので、もういいと思うだけでなく、かえってこんな話あるわけないだろと感じてしまうのでいささか躓いた。
 そうは言っても、志の輔談春(先週)はやっぱり噺を聞かせるなーと感じ入ってしまった独演会であった。新作はともかく、古典はこれができなきゃだめでしょ。そして、この二人まったく違った噺の聞かせ方をするのだが、どこか通じたものを感じさせてくれるのは談志門下ならではかと。
 

志の輔 らくごBOX

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