オーネット・コールマン

 年齢からすればなにも不思議はないというか、大往生と言うべきなのだろうけど、とてもショックだ。オーネットがジャズに何をもたらしたのかについて豊かに語れる人はいくらもいるだろう。そもそも、オーネットを聞いてもこれのどこがフリー・ジャズなのだというくらい私の耳にオーネットは馴染んでしまっている。でも、オーネットを聞くときの解放感というのはやはりたまらないものがある。そして、オーネットはいつも「歌って」いた。あのどこか調子っぱずれな「歌」が私は大好きだった。オーチャード・ホールでオーネットを聞いたのが最初で最後だった。あの時もオーネットは軽々と歌って見せた。オーネットはいつもオーネットなのである。私は茫然として聞いていた。