第一回「占領地域に関する全米教育会議」(1949)に「全面講和」と日本の「永世中立」をとなえて、吉田茂から「曲学阿世」の徒と非難された南原繁のことが、時節柄、思い出されるのでこの伝記を読んでみた。南原は貴族院での「憲法草案要綱」の審議にあたって現行憲法の成立過程で自衛のための必要最低限の軍隊の保持の必要を指摘していたのですね。一方の吉田はよく知られているように、この段階では9条が自衛権の放棄をも含むものであると述べていた。という感じで、ご本人を顕彰する伝記だからそもそもあれなのですが、興味深い指摘もいろいろ出てきます。たとえば、官僚時代幻となった「労働組合法」を起草している。南原が学恩を感じていた師のひとりが筧克彦だったというのは意外。あと有島武郎の自死のショックも大きかったとか。ちなみに南原の義父は存在感なくて可哀想です。
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