シリアの花嫁

 これも二つの合間に。イスラエル占領下のゴラン高原からシリアに花嫁が嫁いでいくストーリー。家族のあいだにいくつも入りこんでくる問題、信仰、出稼ぎ、女性の置かれた立場等々をからめながら話が進んでいく。男兄弟たちが軽々と国境を超えてしまっているばかりか、そこから何にせよ戻ってくることもできるのに対して、女たちにとって国境を超えることの難しさがなんとも、しかも、一度越えたらもう戻ることはできないときている。そして、女たちは人為的に引かれた国境のために仕組まれた制度に従うことなく、自力で国境を超えていくのだ(最後に、花嫁が国境を超えるとき、逆方向に歩き始める、長女であり母でもあるその姉も象徴的に国境を超える)。