映画

犬神家の一族

これもなめてました。映画館で見るのははじめて、これだけやたらと客も多かったな。ストーリー的には推理モノで長い話をまとめるには結構無理しないといけないなと感じるところもあったが、映像的には遜色ない。シネマスコープのような横広の画面じゃないの…

炎上

こちらは三島の『金閣寺』の映画化ですね。れいの宮川一夫による聚閣の炎上シーンが見られます。音楽は黛敏郎。これも陰影とワイドスコープを使った見事なモノクロ作品。主人公は市川雷蔵。仲代達矢が市川雷蔵とこんな感じで絡む作品があったのですね。しか…

雪之丞変化

今さらながら、私が市川崑を過小評価していたというか、そもそもろくに見ていなかったということを思い知らされる。ワイドスコープの画面をうまく使った背景がとてもきれい。陰影の使い方もうまくって、あとから思い起こしたとき、最初はモノクロ映画だった…

青髭八人目の妻

ビリー・ワイルダーのこてこての脚本が笑える、けど、終わりがどうなってるか分かってるのにこれだけ飛ばすと最後は難しいですね。ゲイリー・クーパーはシンデレラマンだっけ、同じように同じ場所に入れられますね(あれはキャプラだったかな)。あの海水浴…

思ひ出

2時間弱あるサイレントで、音無し。それなのに目が離せない。ずっと集中して見せられてしまう。絵も決まってるしつなぎもうまい。すごい完成度。トーキーよりサイレント時代の方が面白いよ。前作にもそういうとこあったけど、ここではもっとたくさんの人とい…

百万弗貰ったら

こちらはオムニバスですが、いかのも戦前のアメリカらしいコメディ。オチもよいですね。ルビッチが撮ったのはあのオフィスのシーンだそうな。見てると思うけど、その後のアメリカ映画で反復される映像ってこのあたりから出てるよね。

牡蠣の王女

ルビッチ、サイコー。1919年、ドイツ時代の無声映画でこの完成度はどういことだ!いちばんきれいだったのは王子が酔っ払った友人と歩きながら一人ずつベンチに座っていくシーンだな。ドイツ表現主義って感じですね。他のシーンも絵が決まってるし、楽しい。I…

大統領と孫

一時期、やたらとマフマルバフ・ファミリーの作品が公開され、マフマルバフ自身の作品はなかなか公開されずと思っていたら、亡命してたんですね。ただ、子どもを使う手法はイラン時代と変わらないな。それはともかく、映像ははっとさせられるし、重ねられる…

首相官邸の前で

やっとみることができました。デモやデモを仕掛けた人の様子がよく分かります。 原発を止める人々 3・11から官邸前まで作者: 小熊英二出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/09/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見るこの国はどこで間違えた…

名もなき塀の中の王

イギリス的と言っていいのかな、この手の不良少年を収監するストーリーというのは。でも、ここでは、それ以前に父親が終身刑で収監されており、しかも、同性愛者と来ている。刑務所のなかで、反逆する息子と、その息子にどう向き合うかに困惑する父親が和解…

ヒトラー暗殺、13分の誤算

どこまで調べても、勤勉で理想的なドイツ人がそこにいる。どうみたって、単独犯。別に共産党員じゃなくったっておかした体制には違和感を覚えるんだよ。しかし、上層部の妄想はそれを受け入れられない。これを前にして軍人とSSの運命が分かれることになる。…

サム・ペキンパー

なぜかとても長く感じた。リズミカルではないのに、同じ調子が続くだろうか。だが、ペキンパーという監督の人となりは十分に伝わってくる。そして、自分があまりにペキンパーに接する機会が少なかったことも。見ている作品は数えるほど、まともにその筋立て…

チャルラータ

サタジット・レイの1964年の未見作品。ひたすら素晴らしいと言うしかない。お話としては、一種、「近代の悲劇」ということになるだろう。二つの宝を持つ男が、それぞれを自分が信頼する身内に託し、その二つともが裏切られる。きわめてリベラルでありながら…

螺旋銀河

まあ、女性に好かれない女性という類型があるように思えるけれど、そうした二つのタイプがからみあうという設定なので、これには笑えた。コインランドリーを選ぶというのも悪くないけど、映画全体としてはどうかな。

顔のないヒトラー

西ドイツでもニュールンベルク裁判のあとはアウシュヴィッツのことは忘れられていたんですね。それが、こんなこんなかたちで、検事たちの結果としてはささいな努力から変わっていくわけですね

EDEN/エデン

ちょっと長くて退屈だなと思いつつ、フランスのクラブ・シーンを追いかけた映画かと思ったらそれだけじゃなくて、男のアラサーの話だったね。『アメリカン・フィデリティ』、『ブロークン・アローズ』につながるガキの頃からちっとも進歩できない男の話。新…

天使の消えた街

映画監督がある事件を映画化しようということで、その取材をして回る記者たちの取材をして回る一方で、自分も取材のタネになりかねないような娘の親権争いというトラブルを抱えている。そんな監督の取材して回る様子をすごく小気味よいテンポで描いて行くの…

ストロボライト

個人的には、サイコパスものってあんまり好きじゃないんだよね。それに頼って話を操作できるから。この映画だと、いまどき感じない医者もいるというプレコックス感を統合失調症でもない人物にあてはめるのはどうなのと思ってしまったりもする。そのあたりの…

野火

塚本監督が『野火』を映画化するときいて最初は意外に思えた。これまでに作ってきた作品とはかなり違った主題を取り上げるように感じられたからだ。だが、同時に『野火』が映画化されることにある種の恐ろしさを覚えた。あ、それで塚本監督が映画化する理由…

ラブ&ピース

こちらははちゃめちゃな園子温の新作。雰囲気はティム・バートン調でコメディ・タッチ。新国立競技場問題が白紙になった分だけインパクトもましてる。たまたま、ピカドンとつけたカメの名前をきっかけに、「ラブ&ピース」という曲が生まれ、大スターになった…

この国の空

この戦争映画に戦場は出てこない。しめぽっさはあっても、それは戦場と銃後のあいだで取り交わされるものでもない。空襲の最中でも人は生きていかなければならず、食えるものなら食いたいし、恋だってしたい。その普通さが哀しい。高井有一原作なのですね。 …

ラブ&マーシー〜終わらないメロディー

本日は『野火』を見に行こうと思ったのだが、行ってみたら何と満員。しかし、あたいの会員証は今日で期限切れなんだよ。まあ、昼出かけるのをおっくうがっていた私が悪いので、また出直すしかないかなということで。二本目に回る予定だった「ラブ&マーシー…

お盆の弟

本日夜は『お盆の弟』。ある意味、男のアラフォーを扱ったという意味では「化けものの子」に通じるものもあるかな。まあ、この設定ずるいとは思う。というのも父母はなくなっており、兄は仕事をしながらも癌を克服して最後は結婚。脚本を書く親友はなんだか…

化けものの子

今夜は『化けものの子』を見てきた。見ながらアタマに思い浮かんできたのは一連の通り魔殺人事件のことだった。場所も渋谷のど真ん中です。ある意味、われわれは化けものの子なんだろうな。それとも、私ぐらいになると化けものかな。なんせ新人類と呼ばれた…

やくたたず

白黒のたんたんとした映像でエピソードは単純なんだけど見せられるな。面白かった。

グローリー 明日への行進

米南部サウスカロライナ州チャールストンで上院議員を含む9人が殺された黒人教会銃撃事件の葬儀でのオバマ大統領のスピーチというか「アメイジング・グレイス」を聞いてこの映画を見たくなった。映画としても悪くないし、内容的にも見る価値があると思う。こ…

スライ・ストーン

必須だと思って見てきた。この手のドキュメンタリーって大抵つまらないのが常で、それは覚悟していたのだが、これはつまらないを越えたひどい代物。見ながら怒りがこみ上げてきた。こんな興味本位みたいな映像見せて何がしたいんだ!しかも、終わりはスライ…

エレファント・ソング

新作上映にあたってグザビエ・ドラン作品の回顧上映があり「マイ・マザー」をはじめいくつかの作品を見直す機会があり、一方いくつかを見逃したのだけれど、見直して、あら、「マイ・マザー」ってグザビエ・ドランの作品だったのと今さら気づかされる一方、…

あん

ちとストーリーべただし、希林さんの演技はこれもちとオーヴァー・アクションではないかと思うのだが、最近ではいちばん河瀬直美ワールドを堪能させていただいた気がします。 ハンセン病と戦後民主主義―なぜ隔離は強化されたのか作者: 藤野豊出版社/メーカー…

サンドラの週末

タルデンヌ兄弟の新作はある意味では下手なストーリー。一人の同僚を解雇するのと1000ユーロのボーナスをもらうのはどっちがよいか。解雇されると死活問題になる女性は旦那の支えを受けつつ、同僚にボーナスを諦めてくれと説得してまわる。これが、どん…