ラブ&マーシー〜終わらないメロディー
本日は『野火』を見に行こうと思ったのだが、行ってみたら何と満員。しかし、あたいの会員証は今日で期限切れなんだよ。まあ、昼出かけるのをおっくうがっていた私が悪いので、また出直すしかないかなということで。二本目に回る予定だった「ラブ&マーシー」の一本早い回に行く。
構成としてはペット・サウンド録音前後のブライアンと現在のといっても、いまから20年くらい前のブライアンの二つが行ったり来たりする設定。前者はマネージャーとしての父を切った後の話で父との葛藤があった頃であり、後者はいかさま精神科医ユージーンの「監禁」下にあった頃の話、で二つがクロスするようになってる。
いまのブライアンがジョージ・キューザックってのは、それはないだろうとは思うけれど、彼が出るなら悪い映画じゃないだろうとも思った。それぞれの時代のブライアンは基本的に左と右、逆方向を向いてるね。途中から変わっていきますが。
で、ブライアンに父親面する二人とも駄目なヤツなんだけど、ブライアンはなかなかそこから自立できないんだよね。一方で、孤独を感じている。まあ、天才というのはきっと常に孤独だよね。でも近年の方では出会いもあって、映画はおきまりのハッピー・エンドに終わるわけだが、こちらはそれ以前にペット・サウンズやグッド・ヴァイブレーションのセッション・シーンを見ているだけで涙が出てきてしまう。ハル・ブレインとのちょっとした会話。もちろん、マイク・ラブとの葛藤もある。
ジミヘンとかもきっとそうだけど、自分のアタマの中で勝手に音がなってて、それをリアルにするしかないって人間の生ってどんなものなんだろう。ビーチボーイズの不幸はジョージ・マーティンがいなかったからだって話もある。ブライアンの想像力を現実化するためのよき助言者がいなかったんだよね。でも、ブライアンは復活した。まあ、それについてとやかくいる人もいるだろうけれど、ボクはやっぱりこれはすごいことだと思っている。そう、ほんとに「終わらないメロディー」なのだ。