野火

 塚本監督が『野火』を映画化するときいて最初は意外に思えた。これまでに作ってきた作品とはかなり違った主題を取り上げるように感じられたからだ。だが、同時に『野火』が映画化されることにある種の恐ろしさを覚えた。あ、それで塚本監督が映画化する理由が分かったというか理由がある思った。
 自然、とりわけ島の緑や花や空に雲(でも、あの積乱雲は原爆を思い浮かべてもしまう)、海、もう一方で燃え盛る炎や米軍が浴びせるライトが美しい。でも、そこで展開する事態が何であるかはもう説明するまでもない。低予算で撮ったことがわかる作品でもありますが、だからといって決して見劣りするような作品ではないことは、これまでの塚本作品と同じです。
 



野火(のび) (新潮文庫)

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レイテ戦記 (下) (中公文庫)

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