ル・ゴフ『中世とは何か』

 ル・ゴフのインタビュー本。ル・ゴフは中世のメルクを、中世に登場した新しい階層である、取引を行う二つの職業人に見ている。

商人=銀行家や知識人を通して、私は中世についての考察の品質的な枠組みを設定できたと思っています。この二つの社会階層の出現は、中世文明を「標づける」ものです(163頁)。

 そして、都市における宗教生活が形作られていく。たとえば、「フランチェスコは、聖職者のものではない世俗の宗教生活を広める」し(156頁)、ここには例の煉獄の話もからんでくる。「中世の重要な発明である煉獄は、罪にまみれた魂が天国に行けるのを街ながら、つまり地獄を免れながら、浄化と償いの試練に絶えるための場所です」(159頁)。

 中世のキリスト教は、人間の時間に対する関係、周期や持続に対する関係を根本的に変えました。そのうえ、聖体の秘蹟によって、いうなれば受肉を具体化することが試みられます。ミサのたびに、いつどこにおいても今ここにいる人々のもとへ神を招くことができます。聖体を受け取ること、それはキリストの体の一部になること、生者と死者のすべての人間たちからなる信仰体の一員になることです。---。中世の教会は、このような生活を具体的に生きようと努めます。教会は典礼秘蹟を丹念に作り上げることによって、これを成し遂げたのでした(176頁)。

 それから、これは知らなんだ。宗教ってことば、

この単語の今の意味は16世紀に生まれたものです。この宗教という概念の誕生の方は、本当の断絶を示すものです。この概念があるおかげで、場合によっては宗教の外にでることも考えられるのであり、宗教は相対的とまではいわなくとも、ある現象として距離をおいて考察されるのですから。いまや人は「選ぶ」ことができるのです(108頁)。

中世とは何か

中世とは何か