最近、スガシカオの最初の2枚をよく聞いている。この2枚、出た当時、歌詞もそうだったけど、なによりファンキーな感じがとても気に入って*1、ヘヴィー・ローテションになっていた。で、どんなヤツだろうと彼がDJをしているFM番組なんかも聞いていた。あらためて聞いてみようと思ったのは、某国営放送局で毎回作詞家/シンガーソングライターを呼んでは、作詞について佐野元春が話を聞くという番組をやっていて、そのなかの一人にスガシカオがいてその話が面白かったのだ*2。
最近売れている邦楽はほとんど聞かないと言ってよいのだが、その理由の一つは、宇多田ヒカルのような例外もあるが、たまに耳にする歌詞のあまりに平板な感じがするところにある。たとえば、桜とか風景を歌っていても(最近の桜が出てくる歌はすべて嫌いだ)、結局それって自分の気持ちを歌っているだけだよねって風にしか聞こえず、ある気分を抱えている自分なり誰かがその場にいる情景なんて浮かびようがない。
これは、矢野顕子が「男性の曲ばかりカバーしてますね」という質問を受けて、自分はカバーするときまず歌詞をみるのだけれど、女性シンガーの曲だと、たいていどこまで行っても歌っているその「私」がいて、自分が入る場所がないからみたいなことを言っていたのと似ているかもしれない。
それでいくと、スガシカオの歌は明らかにそれらとは異質で、ちょっと神経症的なところがあるし、歌われている世界が自分たちの生きている世界に重なるように感じられてくる。ラブ・ソングばっかりじゃなくて、自分たちが生活している24時間のすべてを歌にしてみたいと思っていたという本人の弁はとてもよく分かるというか、共感できる。似たようなことは矢野顕子も言っていたけど、われわれは四六時中愛してるばかりじゃないのだ。ちなみに、スガシカオのセカンド・アルバムのタイトルは『ファミリー』である。
とはいえ、その後は、あまり聞いてこなかったので、今後この先を聞いていってみよう。これはブックオフ500円シリーズでいけそう。
それから、当時彼の歌を聞いていて、この詞の世界は絶対に村上春樹から影響を受けているに違いないと感じていたのだが、番組では本人がそれを認めているばかりか、村上春樹自身がスガシカオのことをエッセイで書いていることが紹介されていた。これも探して読んでみよう。
- アーティスト: スガシカオ
- 出版社/メーカー: キティ
- 発売日: 1997/09/03
- メディア: CD
- 購入: 2人 クリック: 133回
- この商品を含むブログ (143件) を見る
- アーティスト: スガシカオ
- 出版社/メーカー: キティ
- 発売日: 1998/06/24
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 61回
- この商品を含むブログ (116件) を見る