ブッシュを見つめていた眼差し

 久々にお昼にみたドキュメンタリーシリーズ。ホワイトハウスに入りこみ大統領ブッシュの姿を追い続けたカメラマンのドキュメンタリー「写真が語るブッシュ政権」を見る。だが、ブッシュその人よりも、途中から撮るようになったというブッシュを見つめる人々の姿がすごかった。
 彼ら彼女らのブッシュを見つめる眼差しがなんというか尋常じゃないのだ。魅入られたようなというべきか、狂信的と言うべきか、とにかくその異常さに気持ち悪さを感じずにはいられない。ある意味で、映画『A』でオウムサイドから撮ったマスコミ関係者の表情を見たときの驚きに近いものがある。あそこではマスコミ関係者がテレビに映し出された信者と同じような表情をしていた。カメラの反対側はこんな感じだったんだ。
 カメラマン自身、彼らはあのときふつうじゃなかったし、自分自身もまともじゃなかったみたいなことを語っていた。そして、最後に映し出されるのはオバマを見つめる人々の表情。明らかに二つは違うのだという。そうすると、あのブッシュを作り出してしまったのは誰だったんだろうという疑念にかられる。われわれはどんなときあんな顔をして誰かのことを見つめるのだろう?
 思い起こしてみれば、直前までブッシュはまったく人気のない大統領だったのだ。そして、当初、ブッシュを嫌っていたこのカメラマンには、次第に彼が南部にありがちなふつうアメリカ人として映るようになっていったとのこと*1。見応えのあるドキュメンタリーだった。

*1:ちなみに、ヴァン・モリソンが好きらしというところだけはボクと趣味が一致していた。