亀山郁夫と佐藤優

 たまたまブックオフで見つけ、そのまま一気に読了。この二人のとりあわせは意外な感じもしたが、ちょっと考えれば別に知りあいでもおかしくないか。いずれにせよすごいとりあわせ。ドストエフスキーをめぐるやりとりをはじめ、いろいろ面白かった。
 そして、二人とも、現在のプーチン/メドヴェージェフ政権を、あるいはブレジネフ政権を、単純にネガティヴに見ていないところが思いのほかというか、とても興味深かった。まあ、それはわれわれがここまで来て、ちょっと前のこの国のことをそれほど悪くもなかったんじゃないかと感じてしまったりするのと似ているのかもしれない(ちょっと前という言葉で、ボクは、高度経済成長期あたりからバブル前ぐらいまでを想定している)。
 とはいえ、ロシアではいまでも反体制派のジャーナリストが殺され続けているわけだし、その「よき」時代とやらは、本書でも確認されているように、インテリゲンチャにとっては必ずしも生きやすい時代ではないわな。「甦る大国 プーチンのロシア」では正教回帰が著しいということでしたが。
 そんなことを考えると、マンハイムの言う「浮遊せる知識人」ってのも、これまでとちょっと違ったイメージを帯びてくるような気がする。体制から完全にはじかれてしまっているから、何ものも代表しない、あるいはできないって。となれば、体制から浮いてしまった知識人がしばしば過剰に観念論的になったり、ルサンチマンのかたまりみたいになってしまうことだってあるよね。そもそもインテリゲンチャってロシア語だ。
 あの本、長らく読み返したことがないのだが、正確にはどんな話だったか気になってきた。

ロシア闇と魂の国家 (文春新書 623)

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イデオロギーとユートピア (中公クラシックス)

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