「ヴァンダの部屋」再訪

 ペドロ・コスタの新作公開にあわせた再映ということで二度目の挑戦だけどまだ駄目だな。この映画を見たっていう気になれない。どういう映画って言えば、解体されつつある住宅を不法占拠している移民が、何をするともなくドラッグやって云々という日常が描かれていることになるのだが、そんなことを語ってもあまりこの映画について語ったことにはなりそうもない。
 カメラは固定されたまま、その一方で、そのつどのシークエンスがかなり唐突につなげられていく(ように見える)ので、モンタージュによって物語をつむいでいくことができない。まあ、見てればなんとなく状況は分かってくるわけだけど。
 というわけで、こうなると見る方としては、その都度のカットをそれ自体として見つめていくほかはない。実際、カメラを前にしているというのに、ヴァンダをはじめ登場人物たちは、カメラなんかないかのようにやりとりが進んでいく。これってフィクションなのだろうか、それともドキュメンタリーなのだろうかと思ったりもするのだが、いずれにせよ、そのショットで撮られていることを見ていくしかないという意味において、この映画はドキュメンタリーたらざるをえないということになるだろう。だが、それを延々と3時間に渡ってみていく体力と能力はまだボクには備わっていないみたいだ。新作にも挑戦してみますがどうでしょう。