2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

久保覚

発表時、掲載雑誌で読んだ『先生と私』を単行本で再読。再読して、久保覚というネットワーカーの存在が記憶から落ちていたことに気づかされる。久保覚は、花田清輝に私淑し、1960年に現代思潮社に入社、1967年にせりか書房を設立し、『新日本文学』の編集長…

森田洋司『「不登校」現象の社会学』

竹川氏の二著はいじめと私事化との関連についても論じているのだが、議論が中途半端な感じがするので、もっと本格的にこの点について議論をしており、いじめとも無関係というわけではないこの本を読んでみた。「可視性」という概念がちょっと混乱しているよ…

インフラと公教育

マスコミではアメリカの景気が減速しつつあり「宴会」が始まっていると報道されているけれど、クルーグマンによれば(『朝日』今日付朝刊)、連邦政府の支出はある程度増えているが、州・地方政府は支出を削減している。「政府支出全体に注目すれば、ほとん…

『いじめと不登校の社会学』

いうまでもなく「学級集団は、その成員である生徒にとって一定時間以上出席することを強制される所属集団で」(68頁)あり、教科学習の習得という集団目標と社会化機関としての第二の目標を有する一方、生徒たちの生活の中心に位置しており、教師や他の生徒た…

『いじめ現象の再検討』

なんだか、いじめを考えていたら、日本社会論をやってるような調子になってきた。学校が勉強する場所であるということが自明のものと思えなくなるとき、学校はまず何よりも人間関係を取り結ぶ場へと変容してしまう。ところで、いじめが大人の世界にもあるこ…

『いじめの構造』

この夏にやろうと思っている仕事のひとつの手始めに未読のいじめ本をいくつか読んでみる。この本、わりと先行研究に依拠している部分が大きく、またいじめ以外の学校生活とのかかわりや子ども達が使っているという「スクールカースト」という用語が実際には…

『世直し』

農民層の分解過程で、百姓的世界の意識化が起こる。 18世紀半ば、百姓的世界の意識化が成立する」。「現実の農民生活が大きく変動し始めたからである」。「農民生活の変動は、この商品経済・商品生産の展開によるものであった」。「そして、この商品経済の…

アタリ『金融危機後の世界』

私のお約束としてレバレッジを効かせるために経済がらみの本を読む。おさらい的な内容ではあったけど、よく指摘されている中産階級の没落がきわめて人為的な過程のなかで作り出されてきたことがはっきり書かれている。それから、インサイダー取引とかいうけ…

「抑止力」

みんなの党についてのなんだかものたりない特集についてはともかく、この対談のこの話はたしかにあるかもと思った。当時、鳩山元首相がいきなり「抑止力」云々と言い出して、この人、何をいまさらとか思ったりしたわけだが、その後、この7月末に菅直人首相の…

ヴェトナム戦争の記憶/記録

「ハーツ・アンド・マインズ」(74)、「ウィンター・ソルジャー」(72)。まったく異なるアプローチから撮られた2作品だけど、いずれも捉えた映像がスゴイ。当時、こんなドキュメンタリーが撮られてたなんてまったく知らなかった。 それに、兵士たちがジュ…

北山修 最後の講義

ボクは中高時代に北山修から圧倒的な影響を受けており、当時出ていた本はすべて読んでいたのはもちろん、手に入るレコードはすべて入手し、出演したラジオ番組もかなりフォローしてきたつもりだ。でも、いつの頃からだろう。彼の言うことにどこか違和感を覚…