『いじめの構造』

 この夏にやろうと思っている仕事のひとつの手始めに未読のいじめ本をいくつか読んでみる。この本、わりと先行研究に依拠している部分が大きく、またいじめ以外の学校生活とのかかわりや子ども達が使っているという「スクールカースト」という用語が実際にはどのように使われているのかよくわからないが、これでいけば、クラスのなかでコミュニケーション能力(自己主張力・共感力・同調力)を駆使して、生徒たちは安全で高いポジション取りをはかるよう合理的にふるまっているということになる。

スクールカースト決定に大きなウエイトを占めるのはコミュニケーション能力ですが、その中でも同調力は特にカースト決定の大きな要因になります(59頁)。
このときに高いポジション取りに成功した者は、一年間「いじめ」被害に遭うリスクから免れます。逆に低いポジションしか獲得できなかった者は、ハイリスクな一年を過ごすことを余儀なくされます(44頁)。
「また、スクールカーストの低さはいじめの対象になるリスクを上げますが、いじめの対象になることでスクールカーストが下がるというように、両者は互いに原因と結果の対象になっています(59頁)。

 そうだとすれば、学校が本来はたすべき機能を果たせていないということがいちばんの問題ということになるだろう。どうも、当初、この辺の本から読み始めてみようと思った動機付けとは違った方向に話がすすんでいきそうな気配。

いじめの構造 (新潮新書)

いじめの構造 (新潮新書)