「ミュシャ展」

 でも、並ばずに済んだから、「ミュシャ展」も行くことにした。ミュシャというともう固定したイメージがあるからいいやと思ったのだが、スラヴ叙事詩20点という大作が見られるというので予定変更。たしかに、この20作というのは凄いですが、同時に「民族の創世」という神話をあからさまに感じさせる作品群でもありますね。そういう意味では凄いと思いつつ違和感ある〜。その最後の部屋だけ写真可。東ローマ帝国がつぶれてスラヴ民族がローマ教会の管轄下に入るとゲルマン民族の下に置かれてしまうんですね。で、起源と独立、支配者の変遷の「神話」が描かれる。たとえば、フスはスラヴ民族独立のための英雄ということになる。ウィクリフの影響が大きく、宗教改革の先触れというイメージがあったのでこんな風に見たことがなかった。これ、プラハ市美術館蔵とあるのでだったら昔見てるはずなのにまったく記憶にないなと思ったら、プラハ美術館で公開されるようになったのはわりと最近のことだったのですね。そこまで私の記憶も悪くはなかった。その後は、いわゆる「ミュシャ」が続く。ここはもういいやという感じもあったけど、こうした作品にはウィリアム・モリスなんかのアートクラフツ運動の影響があると指摘されていてなるほどと思う。最初から馬鹿にして真面目にみないという態度はよろしくないですな。というわけで、こちらもなかなか面白かった。しかし、前の晩よく眠れない中、久々の美術館のはしごは草臥れました。

ミュシャ展

ミュシャ展

 
芸術新潮 2017年 03 月号 [雑誌]

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