草間彌生展「我が永遠の魂」

 招待券もらったから並ばずに入れたけど(しかし、同じ新聞取ってても私はそんなものもらったことないぞ)、チケット売り場も会場もスゴイ人。会場に入ったところに拾いホールがあって、ここにあれは妻有にあるオブジェとかかな、それからおそらく以前ドキュメンタリーで紹介されていた連作郡が一面に貼ってある。ここだけ写真撮影か。最近は一部だけ可というところが増えたが、ほとんど記念写真用だな。ルーブルなら「ジョコンダ」でも写真に撮れる(ただし、フラッシュ禁止)。ただ、写真撮ってるとゆっくり絵が見られない。
 個人的には、以前どこで見たのだろう、そのときの草間彌生展の方が作品が自分の中に入ってくるような気がして印象深かった。今回は、初期の草間彌生作品が見られたのがえがった。初期にトカゲとカボチャを描いた絵があって自宅の畑のものかな。ある意味、草間彌生の一生のモチーフの原型に当たるものを見たような気がした。もちろん、原型は彼女の疾患からくる幻視なわけだが、それを外界に投影したものがこの二つのおうな気がする。でこぼこしたものとは虫類的なものがあのドットに結びついているんじゃないかしらん。
 それから渡米する前後からもうあの「アレ」と「死にたい」「死にたい」と書き連ねていく作品が並行していくわけですね。エロスとタナトス、いずれも最後に行き着くところは死です。この辺でいわゆる草間彌生の作品というものが確立するわけですね。映像作品もあり。ただ、渡米期に、草間彌生は、オノ・ヨーコみたいに、パフォーマンス・アートも相当やってたはずだから、そういうものの記録なんかも見たかったな。とにかく、私はこのあたりまでの作品なり活動の記録がもっと充実してるといいのにと思った。
 で、それからは帰国してからの馴染みのある草間彌生作品が並ぶことになる。これを見ながら、トカゲとカボチャが思い出されてくるわけよ。それにいくら作品でタナトスをうたっても、彼女自身は生き残ってしまうというか、それは作品に消化されてしまうわけで、そうするとその後どうするかというところで、彼女は自分自身のパロディをやり始めたように思う。オノ・ヨーコにもそんなところがあったな。帰国してからの作品は、異様な存在感を与える一方で、ポップでキッチュだ。商品化もされている。物販のコーナーも長者の列で脇をとおるだけ。もう少し空いてるといいのになと思うけど東京じゃ無理ですね。

草間彌生全版画 1979‐2017

草間彌生全版画 1979‐2017

 
芸術新潮 2017年 04 月号 [雑誌]

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ユリイカ 2017年3月号 特集=草間彌生 ―わが永遠の魂―

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美術手帖 2017年3月号

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