社会心理学の源流と展開

 議論のまとめ方に粗密の差はあっても面白い本。コントは心理学を実証段階に達している生物学と社会学のセットで考えるんだね。他方、スペンサーは個人の進化から社会の進化へと時系列的に移行する。こういう発想があったから一時期、ああるいは今でも、人類学と心理学のつながりがあるわけですね。まあ、この人類学は社会学に置き換え可能だし、実際そうなるわけですが。ヴントにいたるまでドイツの民族心理学はこの折衷。つまり、実証的な生理学的ないし生物学的な心理学と歴史哲学的な民族心理学の組み合わせで行くことになる。ジンメルのあたり解説が気に入らないのでパス。
 フランス、タルド:発明と模倣で生物学的な土台のもとで社会学的な方向が与えられる。デュルケム。個人意識と集合意識。そのバランスの変化を問題にする。