『ジョージ・ハーバート・ミード』

 自分では絶対に読まないであろう二次文献に検討を加えながら話を進めているのは便利。勉強になる。著者の理解は138頁あたりからおおよそ要約されている。基本線は、「ミードの理論化において、〈生理〉〈心理〉〈社会〉という三つのレベルが必要不可欠なものである事がが理解されよう」(143頁)。ただ、哲学的な部分には言及しないというのだが、科学主義と言いつつプラグマティズムに言及しないのはおかしいと思う。この点はI/meにもつながるし、それがさらに時間論とかかわるはずなのに時間論への言及もない。まあ、それはそれで別の仕事になるからよいとしても、この本、どういうねらいでミードを読みたいんだろうという思いを抱かせながら結論部まで読み進めて、こんなミードは好きではないとやられては、ハシゴ外されたみたいでガクっときてしまう。