ちょっと寄せ集めっぽい感じの本であるが、サリヴァンの取っ掛かりの本としてはよいのかな。ただ、とりあえず前半読んでもあんまり分かった気がしない。でも、サリヴァン→フロム・ライヒマン→ベイトソンとつなげるのは分かるし、文化人類学の影響を受け、ルース・ベネディクトやサピア、ラズウェルとつきあいがあり、トマスとズナニエツキの仕事に注目している。で、ロイス→ミード→サリヴァンとロイスまで影響関係が遡るというのは知らなんだ。ロイスはジュネにも影響与えてるのね。
彼は、その一般理論の上にたって、対人関係をもとにした発達論をつくり、飢え・渇き・親密性などを求める「満足」の欲求と、心理的・社会的意味での「安全(保障)の維持欲求とを並べて、人間が対人関係において追求する二代目標だとしている(10頁)。
一般に、性欲や親密性などの満足を求める力動体制には目標があり、力動体制が目標を達成すれば、その対人関係を結ぼうとする傾向性は弱まり、場は消失に向かう。ところが、満足の追求によって対人的安全への脅威が起こるときに、対処しようとする安全保障に関係した「困難の力動体制」は、目標を達して消失することがない場面が少なくなく、いくらでも続き、いくらでも肥大する傾向があり、それを介して作られる対人の場が前面に出ると、人格の障害が生じて来かねない(13頁)。
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生活史の社会学―ヨーロッパとアメリカにおけるポーランド農民 (1983年)
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