G・H・ミードの社会学

 プラグマティズム。相互作用は創発する。
 有機体は個体ごとに環境を創発させる:有機体の衝動が刺激を選択し反応を引き出す。反応することで行為する対象を、つまりは環境を作り出す。この選択能力が知能と呼ばれる。人間の知能は反省的で有り、刺激の選択を遅らせ対象への反応を先取りし、あらかじめ刺激の意味を理解できるようにする。このとき目的に見合った手段を選択する能力を精神(こころ)と呼ぶ。自己とはこうした媒介過程を挿入する反省能力である。他者の態度取得。
 行為の目的となる対象を操作することで世界が分節化し、時空が分節化し、物的対象が存在するようになる。知覚の局面にはこうした操作から完成に至る行為過程が先取り的に含まれている。操作の過程で先取りされた行為過程は対象化され、目的に見合った手段を選ぶように精神(こころ)が働く。そのうえで実際の行為が完成することになる。
 ミードの場合、対象の認識は対象の役割取得によって可能となる。これは接触によって得られるものであり、知覚の現実性もその確証も視覚ではなく接触に依存する。そして、この接触経験は仮定された行為という離隔体験を完成させることで生起する。
 身振りとは相手の有機体にとっての刺激である。だから、その反応から刺激の意味を知るには有機体間の相互作用が必要である。だから、行為の意味もそこで決まる。そして人間はそれを他者の役割取得というかたちでなぞることができる、
 スミス、マルクスウェーバー、クーリー、パーソンズ。対象としての自己があらかじめ存在するか否か。

新版 G・H・ミードの社会学 (社会学史研究叢書)

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